トップ > 調べる・学ぶ > M&A実務 > 法改正・判例 >スクイーズアウトを目的とする株式併合につき、株式平等原則の違反や著しく不公正な決議の該当性等が争点となった裁判例

スクイーズアウトを目的とする株式併合につき、株式平等原則の違反や著しく不公正な決議の該当性等が争点となった裁判例

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

M&A:スクイーズアウトを目的とする株式併合につき、株式平等原則の違反や著しく不公正な決議の該当性等が争点となった裁判例(札幌地判令和3年6月11日)

 札幌地裁は、原告である少数株主Xが、被告Y社における株式の併合に係る臨時株主総会決議(「本決議」)が違法であるとして無効確認を求め、また、特別利害関係人による議決権行使がされ「著しく不当な決議」があったとして本決議の取消を求めた事案について判決を行いました。
 裁判所は、①少数株主の締め出し(スクイーズアウト)を目的とする株式の併合が株主平等原則に違反するかという争点につき、株式の併合により少数株主が株主の地位を失う結果が生じることは会社法が予定する事態であり、全株式につき一律の割合で併合の対象としていれば、株式平等原則に違反しないと判断しました。
 また、本裁判では、②Y社代表者はXを締め出す目的を有しており、本決議が「著しく不当な決議」に該当し、取消事由があるかが争点となりました。裁判所は、会社経営の転換期を迎えたY社において、意思決定を円滑かつ迅速に進めるため、Xを株主から排除し、安定株主による会社支配権を確立することを目的に株式の併合が行われたと認定した上で、かかる目的自体は、単にY社代表者の個人的な感情に基づいて行われたものということはできないから、「正当な事業目的でないとまではいえない」として、「著しく不当な決議」には当たらないと判断しました。
 本裁判例は下級審の判決ですが、株式併合はスクイーズアウトの手法として広く利用されているところ、株式の併合に係る株主総会決議の無効事由や取消事由について判断を行ったものとして、M&A実務において参考になると思われます。

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 齋藤 悠輝

森・濱田松本法律事務所 ClientAlert 2021年10月号 vol.94より転載

NEXT STORY

改正外為法のM&A実務への影響

森・濱田松本法律事務所
| 2019/12/18
2019.12.18

新信託法改正の注意点 受益権売買があった場合

司法書士法人・行政書士法人星野合同事務所
| 2018/3/14
2018.03.14

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5