2019年度税制改正において、適格再編となる三角合併の対価要件が緩和され、現行組織再編税制上認められている合併親法人の株式を対価とする場合に加えて、祖父会社(親会社の親会社)の株式を対価とする合併についても新たに適格組織再編の類型とする案が浮上しています。
この案が実現した場合、持株会社の孫会社が三角合併する際に、持株会社(祖父会社) の株式を対価として使えることになり、合併手続が省力化できることになります。
近年持株会社を上場させている事例も多く見受けられるため、この案が実現した場合、 M&A実務に与える影響は大きいと考えられます。また、外国の多国籍企業グループの資本構造は、通常、多階層にわたっていますが、そのような多国籍企業グループであっても、頂点にある上場会社の株式を対価として日本企業を買収することが、実務的に可能になるように思われます。合併に限らず株式交換や会社分割でも類似の制度が導入されるかも含め、来年の税制改正に向けた今後の動向に注目する必要があります。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 岡野 貴明
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