株式交付の導入を提案した会社法中間試案に関する意見募集の結果を法務省が公表
2018年5月末、法務省が「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」に関する意見募集の結果を公表。新たに提案された株式交付の導入に対して、どんな意見が寄せられたかを紹介します。
2017年11月29日、大阪高裁第11民事部は、上場会社Aの取締役が出資・設立したB社がA社に関して公開買付け・スクイーズアウトを行い、これに反対する株主がA社に対して株式買取請求を行ったというMBO(マネジメント・バイアウト)の事案について、当該公開買付けに係る買付価格と同額を「公正な価格」と認め、株式の買取価格とする決定を行いました。
本決定においては、ジュピターテレコム事件(最決平成28年7月1日)と同様の判断枠組みが採用されていますが、加えて、B社による公開買付価格がA社の1株当たり簿価純資産を下回る価格であっても、A社の事業継続に疑義が生じる状況ではなかったこと、A社の株価はA社の簿価純資産も織り込んで市場で形成されていたこと等からすると、A社の1株当たり簿価純資産が株式買取価格の下限となるものではないとの判断も行われております。
本決定は、公開買付価格が1株当たり簿価純資産を下回る場合であっても、発行会社の事業継続に疑義が生じる状況でない場合には、一般的に公正と認められる手続により公開買付けが行われ、その後に当該公開買付けの買付価格と同額でのスクイーズアウトが行われるときは、原則として当該公開買付価格が「公正な価格」と認められることを明らかにした点で、実務上一定の影響を有するものと思われます。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 足立 悠馬
2018年5月末、法務省が「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」に関する意見募集の結果を公表。新たに提案された株式交付の導入に対して、どんな意見が寄せられたかを紹介します。
2017年6月、処分行政庁の課徴金納付命令が裁判所によって初めて取り消されました。今回の裁判で争点となったのは「職務に関し知った」という点。裁判所が示したその意義を解説します。
今回は、株式買取請求の撤回の効果に関して判示した東京高裁の裁判例をご紹介します。