株券発行会社において株券の提示なくして相続人による名義書換請求が認められた事例
株券を提示しなくても、実質的権利を証明することにより名義書換請求が認められた事例(2018年7月11日付東京高裁判決)を取り上げます。
2019年11月22日、「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」(「改正外為法」)が参議院で可決され成立し、同11月29日に公布されました。改正外為法は、公布から6ヶ月以内の政令が定める日に施行するとされています。同施行日以降に実行される株式取得等のM&A取引については、改正外為法の適用があるため、留意が必要です。
改正外為法では、事前届出又は事後報告の対象となる、上場会社等の株式・議決権の取得の範囲が拡大されています。現行の外為法では、「10%以上」の株式・議決権を取得する取引が、事前届出又は事後報告の対象とされていましたが、改正外為法ではその閾値が「1%以上」に引き下げられました。
また、改正外為法では、事前届出の免除制度が導入され、一定の要件を満たす場合、「国の安全等に係る対内直接投資等に該当するおそれが大きいものとして政令で定めるもの以外」については、事前届出が免除されます(免除される場合、事後報告が必要とされます。)。但し、改正外為法上、何が免除対象外とされるかは具体的には規定されておらず、今後、政令・告示において明らかにされるものと考えられます。従前、外国投資家による本邦企業の株式取得等のM&A取引では、デュー・デリジェンス等で事前届出業種の該当性が検討されていましたが、今後は事前届出の免除が得られるかという点の検討も重要になると考えられます。なお、対象会社としては、自社が届出・報告主体とならない場合も、買主側の外為法の手続が全体のスケジュールに影響を及ぼす可能性があることに、留意する必要があります。
その他、M&A実務に影響の大きい点としては、ファンドが株式・議決権の取得を行う場合の取り扱いが明確化されたことが挙げられます。これまで届出・報告義務を負う主体に混乱が見受けられましたが、改正外為法の下では、民法上の組合、投資事業有限責任組合又は外国法上の組合において、①非居住者等が出資額の50%以上を拠出している場合又は②非居住者等が業務執行組合員の過半数を占めている場合には、組合自体が外国投資家と扱われ、背後の投資家ではなく組合自身が対内直接投資の届出・報告の義務を負うと整理されました。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 齋藤 悠輝
株券を提示しなくても、実質的権利を証明することにより名義書換請求が認められた事例(2018年7月11日付東京高裁判決)を取り上げます。
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