M&Aの相続対策、2019年に行われた相続税の大きな改正とは?

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相続税は数年に1回大きな改正が入ることが最近、定例になっている。多くの人が知っているのは、2015年に行われた相続税の基礎控除の改正であろう。

2015年前までは基礎控除は「5000万円+1000万×法定相続人の数」であった。しかし、2015年の税制改正により基礎控除は「3000万円+600万×法定相続人の数」に変更された。

法定相続人が3人いる場合、2015年前までは8000万円の基礎控除があったが、2015年以降は4800万円まで基礎控除が削減されたのだ。この影響により相続税を納める人の割合は4%から8%まで拡大した。土地の価格が高い東京都に限っていうと15%以上の人が相続税を納めていることになる。

このように相続税の改正が行われると大きな影響があるが、実は2019年にも大きな改正があったことをご存知だろうか。

2019年税制改正のポイントは3つ!

2019年税制改正のポイントは次のように集約できるだろう。

・配偶者居住権を新設
・特別寄与料の新設

・小規模宅地等の特例の改正(2018年に改正)

それぞれのポイントについて説明する。

▼配偶者居住権を新設

配偶者居住権は、自宅を所有権と配偶者居住権に分け、被相続人(夫)の死亡後も配偶者(妻)が自宅に住み続けられるようになる権利だ。婚姻期間20年以上の夫婦であれば、「配偶者に贈与された自宅」については遺産分割の対象外になることになった。

この配偶者居住権が新設されたことにより、配偶者に万が一のことがあっても、残された配偶者は慣れ親しんだ自宅に安心して住み続けられるようになった。

▼特別寄与料の新設

特別寄与料の新設とは、配偶者が義父母の介護などで献身的に貢献した場合、相続人以外でも金銭を求めることが認められるようになったことだ。従来は、いくら献身的に介護をしても、法定相続人ではない配偶者に金銭を求める権利はなかった。心情的になかなか納得できるものではないため、多くのトラブルが発生していたのだ。

2019年の法改正により正式に相続人以外の配偶者にも金銭を求める権利ができたことは画期的であるといえるだろう。

その他にも、自筆証書遺言は財産目録のみであれば、パソコンによる作成や預金通帳のコピーでも可能になったことや遺留分を請求されても、不動産などの現物で払う必要がなく、金銭で解決できるようになったことなど、様々な改正が行われた。

▼小規模宅地等の特例の改正(2018年に改正)

こちらの改正は2018年に行われたものだが、影響が大きいものなので、参考までに説明したい。小規模宅地等の特例も改正された。内容は被相続人(親)の自宅を同居する子が相続する場合、330平方メートルまでであれば敷地の評価額が80%減になるというものだ。

仮に、5000万円の評価額の場合、80%減の1000万円に評価額が減るので非常に効果が大きい特例だ。従来、子供は親との同居が条件だったが、子供に持ち家がなければ別居でも良くなった。

ただし、小規模宅地特例を適用するために孫や資産管理会社に自宅を売却し家なき子を偽造するケースが多くなったため、3親等内の親族に売却したら小規模宅地が適用されないなど条件が厳しくなった。

このように相続税は定期的に大きな改正があるので相続税を支払う必要が高い法人オーナーの方などはしっかりチェックする必要がある。

まとめ

今回は、2019年に行われた相続税の税制改正の主な内容について説明をした。数年に1回相続税は大きな改正が入るのが定例化しているため今後も相続税についての動向についてしっかり確認する必要がある。

文:M&A Online編集部

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