M&Aの相続対策、「名義株」問題をどう解決する?

alt
写真はイメージです。

中小企業の相続対策で問題になるのが名義株だ。名義株の取り扱いに悩んでいる経営者は多いに違いない。ついつい先送りにしがちな名義株の取り扱いだが、相続が近づくにつれ処理をせざるを得なくなってくるだろう。

名義株とは、会社における株主名簿上の名義とその株式の実質上の株式引受人が一致していない株式のこと。時間の経過とともに、その事実関係の証明が困難になるため、下記のような問題が発生することがある。

名義株に関する一般的な問題点く相続発生時>

実際に相続が起こると、「名義を貸与している株主」 と「実質上の真正な株主」との権利関係が問題となり、相続税法においては、名義株式は実質株主の相続財産に含めることとされている。

しかしながら、相続の発生時において、株式を実質的に引き受けたのが誰であるのかまた名義貸与が行われたことが事実であるかどうかといった証明をすることは困難である場合が多いと思われる。

過去に名義を借用した被相続人が亡くなっていると、殆どが証明することは不可能となり、名義人が権利を主張するトラブルに発展する可能性が高まるのが一般的だ。

さらに名義人が既に亡くなっており 、真正な第三者として 、名義人の相続人等が相続財産として認識した上で相続している場合は 、対抗しきれない可能性があるのだ。

名義株の主な発生要因は様々だが、主な要因は以下2点になるだろう。
・旧商法上必要であった「発起人7名」の条件を充足するため、社員等の名義を借用
・他人に株式の取得事実を知られたくない場合等に、名義を借用

「真正な株主」特定のポイントについてまとめておく。
・出資金の払込状況
・株券の所有者(保管状況)
・会社備え付けの株主名簿
・配当の受領者
・配当所得の申告

後継者の世代になって時間の経過とともに、真正な株主の特定も難しくなっていくため、早急に解消していくことが必要だ。また、後に名義株主から買取請求の問題が起こると、その買取価額が高くなる可能性が高くなるので注意が必要だ。

名義株の解消手続きとは

名義株の解消手続きは主に2つのケースに分かれる。それぞれのケースについて説明する。

▽名義人が名義株であることについて同意している場合
名義貸与承諾証明書(確認書)の作成をすることによって名義株の解消手続きをすることが可能。名義人である各人に対して作成した上で、公証人役場にて名義貸与承諾証明書(確認書)に「確定日付」を付してもらうのだ。同書類上に名義貸与者の「自署」「押印」が必要で押印は実印で印鑑証明書の添付があればベターといわれている。

▽名義人が名義株であることについて同意していない場合
名義人が名義株であることについて同意していない場合は、司法(裁判)での判断にゆだねるか、所有が名義人であると認めて買い取るかのいずれかの方法をとる必要がある。

・所有について司法にて判断(裁判)
・所有が名義人にあると認めて個人で買い取る
・従業員持株会等で買い取る
・同族関係者で買い取る
・発行法人にて自己株買いを行う

名義人が名義株であることを認めないと主に上記の手続きが必要になるだろう。

ちなみに名義株の整理<真正な株主の確定>は以下のステップで行うのが一般的なので是非知っておいてほしい。

・法人に対して名義書換の請求を実施
・取締役会の承認
・株主名簿 法人税申告書別表二の株主名を変更

まとめ

今回は、名義株について説明をした。名義株は旧商法の名残から多くの企業で存在しているのが実情だろう。名義株はついつい先送りにしてしまうケースが多いが、しっかりと事前に対策を立てないと後々大変なことになってしまう。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

【中小企業のM&A】疑問にこたえる!事業承継Q&A(技術論編)

【中小企業のM&A】疑問にこたえる!事業承継Q&A(技術論編)

2020/10/06

事業承継には慎重な取り組みが求められます。事業承継の失敗は会社の存続問題につながります。技術論としての事業承継とは「お金」の話しが中心となります。大多数が最初にして最後の事業承継。経験上、数多く寄せられる質問にQ&A方式で答えてみます。