中小企業庁は2月24日、「中小企業の経営資源集約化に関する検討会」(座長・山本昌弘明治大学教授)の第4回会合を開いた。民間M&A支援機関の支援対象となる中小企業の裾野を広げるため、呼び水となるインセンティブを政策的に措置する必要性などを確認した。
検討会は2020年11月に発足。オブザーバーにM&A仲介業者などが加わった。新型コロナウイルスの影響で2020年の休廃業・解散件数が過去最多の4万9698件(東京商工リサーチ調べ)に達した中、M&Aによる統合・再編などを促進する新たな支援策を練っている。
4回目の会合では、1.大規模・中規模M&Aにおける対応、2.経営者保証問題への対応、3事業再生・廃業支援との連携について議論した。
大規模・中規模M&Aは中堅・中小企業が譲受側となるケースが増えている半面、譲渡側における早期の事業引き継ぎ着手の必要性の認識や、譲渡側・譲受側双方のM&Aに関する経験・人材などが不足している。
このため、売り手と買い手の利害が対立し、一般的な相場の形成も困難な「バリュエーション(譲渡価額、手数料などを含む)」「リスク評価」「M&A支援機関によるアドバイス」について、中小企業がうまく活用できる環境整備の取り組みが求められるとした。
また、中小企業とファンド(投資家)を隔てる経営の自由度などの意識差を解消することで、希望する中小企業がプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)から投資を受けられる環境づくりの必要性も示された。
投資家から集めた資金を基に未公開株を取得し、その企業の経営に深く関与して企業価値を高めた上で売却するPEファンドは事業承継などの手段として関心が高まっているが、国内の市場規模は諸外国と比べると圧倒的に小さい。
このほか、後継者確保のネックとなっている経営者保証問題に関しては、事業承継と経営者保証解除の相談に一貫して対応する新センターを発足し、外部関係機関(金融機関・保証協会・支援機関)との連携を一層強化する必要性を挙げた。
事業再生・廃業支援との連携では、事業継続を前提としたM&Aが困難な場合は経営資源の引き継ぎを目指して円滑な転廃業の相談を行うことが重要とし、専門的な支援スキルを持つ関連機関や専門家との連携を一層強化すべきとした。
検討会は3月15日の次回会合で対応方針の骨子を策定し、4月中にも開かれる第6回会合で取りまとめる予定。
文:M&A Online編集部
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