M&Aの相続対策、信託銀行をどう利用する?(1)

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信託銀行には、普通銀行にはない、さまざまな相続対策のスキームがあることをご存知だろうか。M&Aを行い多額の資金が入金になった経営者の多くは相続税対策が必要になるので、信託銀行の活用も検討したい。

遺言代用信託

遺言代用信託とは、自社株などの特定の財産に特化し、承継先を決められる商品をいう。遺言信託との最大の違いは、遺言信託は原則すべての資産の承継先を決めなければいけないのに対し、遺言代用信託の場合は、一部の資産のみ承継先を決めることができることにある。

次のようなニーズがある方は検討してみても良いだろう。
・全財産の配分まで決められていないので、自社株といった特定の財産の承継対策を先行して決めたい
・相続時に自社株をスムーズに承継させたい
・金融資産の一部のみを生前に指定した先に承継させたい
・相続税納税期限までに株式の一部を売却したい

遺言代用信託の主なメリットは3つに集約される。
・特定の財産のみを指定して遺すことができる
・名義変更が遺言対比速やかに変更できる
・株式が数十億〜数百億単位保有している場合は遺言代用信託を活用することでコストを低くすることができる

株式処分信託

株式処分信託とは、株式処分信託の契約時にインサイダーフリーの状態であれば、創業家一族であっても最長1年間にわたり、上場株式を売却することが可能な仕組みだ。

上場企業の創業家の場合、 株を売りたくても莫大な金額になることもあり、マーケットで売却をすることをためらう方も多いだろう。しかし、信託銀行の株式処分信託を利用すればスムーズに売却することが可能になる。

株式処分信託を検討すべき方は以下のような方だろう。
・株価が「〇〇円まで上昇すれば△△株売却したい」といった段階的な売却スキームを構築したい
・半年程度かけて売却していきたい
・信託銀行名義で株式を売却したい
・納税資金を確保したい
・上場株式の銘柄を入れ替えたい

株式処分信託の主なメリットは4つに集約される。
・契約後はインサイダーフリーの状態となる
・売却価格などに条件が付けられる
・売却時期を分けることで、株価への影響を少なくすることができる
・上場株式をキャッシュ化できる

株主処分信託は、信託銀行名義で株の売却をすることができるので自分の名義を隠したい方にとっては大きなメリットになるだろう。

受益者代理人特約

多額の相続資産があると、本人の判断能力の低下や未就学児へ資産が相続された場合に備えたいという方も多いだろう。そんな時に、非常に便利なのが受益者代理人特約だ。

受益者代理人特約とは、受益者代理人特約を付加すれば、本人に代り代理人が議決権を行使することが可能になる信託契約になる。

受益者代理人特約のニーズがある方は、以下のような人になる。
・本人の判断能力が低下した場合、信頼のおける人に財産の管理をして欲しい
・受益者が未成年等の場合、親などが未成年の代理人となり資産を実質的に管理したい

受益者代理人特約の代表的なメリットは2つ。
・本人の判断能力が低下した場合に滞りなく資産の一部解約などを行うことができる
・未成年等に代わって親などが資産管理をできる

まとめ

信託銀行は普通銀行に比べあまりなじみがない方も多いかもしれないが、相続対策について様々なノウハウを持つ。今回紹介しきれなかった、信託銀行独特のスキームはまだまだあるのでそちらについては次回説明をする。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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