ポストコロナへM&A推進 中小企業白書を閣議決定

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休廃業が最多の4万9698件

政府は4月23日、2021年版の中小企業白書・小規模企業白書を閣議決定した。新型コロナウイルスの影響で、2020年の休廃業・解散件数は調査開始(2000年)以来最多の4万9698件に上った。一定程度の業績を上げながら休廃業・解散に至る企業も多く、M&Aや事業承継を通じた経営資源の有効活用を促す取り組みが必要とした。

中小企業白書によると、コロナ禍による事業活動への影響が「継続している」と答えた企業の割合は71.3%を占めた。金融支援拡大や持続化給付金の効果で2020年の倒産件数は抑えられたが、後継者不在率の高止まりや経営者の高齢化が顕著な中小企業の休廃業・解散件数は2年ぶりに増加。2019年(4万3348件)を6350件も上回った。

半面、休廃業・解散企業のうち61.5%は、当期純利益が黒字だった。全体の24.5%は利益率が5%以上と高く、良質な経営資源の散逸を防ぐ施策が急務となっている。

M&Aのイメージが向上、身近な手段に

こうした中、国内企業のM&A件数は近年増加傾向にある。コロナ禍に見舞われた2020年は過去最多だった前年(4088件)より減少したが、3730件の高水準を維持。47都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターの成約件数は、過去最多の1234件に達した。

10年前と比較したM&Aに対する経営者の意識も変化し、買収することについては33.9%、売却(譲渡)することについても21.9%が「プラスのイメージになった(抵抗感が薄れた)」と回答。「マイナスのイメージになった」は全年代で10%以下にとどまり、M&Aが身近な手段になってきている状況がうかがえる。

M&Aで買い手意向のある企業は19.1%で、売り手意向があるのは5.6%だった。さらに、4.1%の企業には買い手と売り手両方の意向があり、全体の3割近くの企業が何らかの形でM&Aを実施する考えを持っていることが分かった。

企業の成長・発展につながる効果も

また、M&Aを検討した主な目的としては売買双方が事業規模の拡大を挙げており、売り手側は雇用維持のためとした割合が最も多かった。2015年にM&Aを実施した企業と実施しなかった企業に分けて売上高、営業利益の成長率を集計したところ、2017年から2019年にかけての両成長率は実施企業が非実施企業を上回った。

一方、M&Aを実施したことのない企業にとっては「期待する効果を得られるかよく分からない」「判断材料となる情報が不足している」といった障壁が存在している。コロナ禍前後の比較では売り手意向の企業が増えた半面、買い手意向は「事業戦略の見直し」「自社事業の立て直し」などを理由に減っていることも明らかになった。

白書はM&A支援機関によるサポートの重要性も指摘した上で、「事業承継後に販路開拓や経営理念の再構築など新たな取り組みにチャレンジする企業が多く、『新たな日常への対応』を含め企業の成長・発展を促していくためにも事業承継を推進することは重要」と結論付けている。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
2021年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました (METI/経済産業省)
2021年版中小企業白書・小規模企業白書概要

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