2.株式移転計画書の書き方と注意点

2-1.法律上必ず書かなければならない事項

株式移転計画書には、法律上必ず記載しなければならない法定記載事項があります。それは、以下のとおりです。

①設立会社の情報
株式移転を行う場合には、完全親会社を新設するので、その会社の目的や商号、本店所在地、定款記載事項、取締役・監査役などの役員などの組織に関する事項を定める必要があります。ただし定款記載事項については計画書にすべて列挙する必要はなく、別紙として添付するケースが多数です。本書式では2条に記載があります。

②株式移転に際し、子会社の株主に交付する親会社の株式数や算定方法、割当に関する事項
株式移転を行う際、子会社の株主には親会社の株式が割り当てられます。そのとき、何株が割り当てられるのか、あるいはその計算方法を明らかにしなければなりません。本計画書においては、6条にて計算方法が明記されています。

③設立会社の資本金及び準備金
株式移転の際には、設立会社の資本金及び準備金を記載する必要があります。本書式では5条に記載されています。

④設立会社の取締役などの役員の氏名
親会社となるべき設立会社の取締役などの役員については、氏名を明記する必要があります。本書式では3条に記載されています。


⑤子会社の株主に交付する社債などがある場合、種類や金額、内容、算定方法、割当に関する事項
普通株式以外に社債や新株予約権などによって対価を与える場合には、対価の種類や金額、内容や算定方法、割り当て方法などを明らかにする必要があります。本計画書では、これらを予定していないので記載していません。

⑥子会社の新株予約権者に交付する親会社の新株予約権などの内容、数量、算定方法や割当に関する事項
子会社がすでに新株予約権を発行していた場合、子会社への新株予約権に替えて親会社の新株予約権を割り当てます。その際、親会社の新株予約権をどのような方法で交付するのかを定めなければなりません。本書式では、こういった対応を予定していないので記載はありません。

2-2.定めておいた方が良い事項

以下で、定めておいた方が良い事由について解説を加えていきます。

設立会社の成立日
本書式では、設立会社の成立日を計画書にて定めています。これは、会社設立登記を行って設立会社をこの世に生み出すべき日です。ただし手続き進行上の必要性などによって日程を変更すべきケースでは、当事者の協議によって変更可能としています。本書式では7条に記載されています。

計画内容の変更や中止
株式移転計画は、どのような場合でも必ず実現しなければならないとすると負担が重くなりすぎます。そこで、天変地異や経済情勢の変動などの事情があれば、協議の上計画内容を変更したり中止したりできるものとしています。本書式では9条に記載されています。

また、株主総会で決議を得られなかった場合や関係各庁で承認を得られなかった場合にも効力を失うと確認しています。本書式では10条に記載されています。

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株式移転を利用するのは、ある程度以上規模の大きなM&Aのケースが多数です。親子関係創設のために株式移転を計画される際には、今回ご紹介した書式例を参考にしてみてください。

※ 上記はあくまでサンプルです。事案により内容は変わります。

文:福谷陽子(法律ライター)/編集:M&A Online編集部