総合取引所構想の動き

世界の主要取引所は総合取引所が主流で日本は大きく遅れている状態であるが、金融先物と商品先物が別の取引所で扱われる弊害は以前から指摘されていた。実は総合取引所構想がでたのは2007年。政府の経済財政諮問会議が構想を打ち出し、2010年には成長戦略に組み込まれたのである。体制を整備するために2009年と2012年の2度にわたる金融商品取引法の改正も行われた。

しかし、12年たっても日本には総合取引所が存在せず、商品先物市場は低迷したままである。総合取引所構想が進まなかった理由の1つとして、縦割り型の行政制度が指摘されている。JPXの所管省庁は金融庁、TOCOMは経済産業省と農林水産省に別れ、とくに東京商品取引所社長のポストを握る経済産業省が「抵抗勢力」となっていたのだ。

出典:総合取引所の実現に向けた基本合意について(JPX、TOCOM)

TOCOMは2009年から10期連続で最終赤字が続きながらも独立性維持にこだわり、デリバティブの商品ラインアップを広げたいJPXの申し入れを断っていたのである。

12年越しの総合取引所構想

ところが、2018年に10年以上も停滞していた総合取引所構想が動きだした。JPXとTOCOMが具体的な協議を開始したのである。これには、2つの理由があると考えられる。1つは政府の規制改革推進会議がこうした取引所の現状を強く批判し、当面の重点事項の一つとして「総合取引所の実現」を掲げたことである。

2018年11月にまとめた答申で、「総合取引所を創設できないことが投資家のコストを高め、多くのビジネス機会を創出してきたことを認識すべきだ」と、取引所関係者に早期の実現を求めたのだ。この答申内容は、これまで総合取引所化に消極的と見られていた経済産業省も了解した上でとりまとめられており、政府一丸となって取り組みが期待できることとなった。

次に商品先物市場の売買が低迷する中で、金融庁の管轄で商品デリバティブ取引が行われることに抵抗があるとみられていた商品先物取引業者が、総合取引所を前向きに受け止められるようになったことである。

総合取引所ができると、投資家の利便性が向上する。これまで双方の取引所で売買するには、別々の金融機関に取引口座を開設する必要があった。総合取引所になれば、ひとつの資格で双方の取引所で売買でき、個人投資家の取引の窓口も1本化される。

商品先物取引業者は勧誘規制後に経営状況が悪化していたが、総合取引所によって個人マネーを取り返せれば商品先物市場の流動性が向上して業績回復の期待も高まる。低迷が続いている商品先物市場も、証券会社を経由した市場の活性化ができると考えたのだ。