米中の貿易摩擦のあおりで世界的にマーケットが不安定な動きを見せている昨今、日本には堂島(大阪)の米相場の時から言い伝えられている「相場の格言」というものが存在している。実はウォー ル街にも格言はある。外国人投資家も参考にしているであろう言葉、そして後から振り返ると意外と的を射ている…。そんな格言のあれこれを紹介したい。

「リッチマンになりたければ孤独に耐えろ」

【株式相場の心構え編】 

◆人の行く裏に道あり花の山

 株式投資の格言といえば、まず最初に出てくるのがこのフレーズ。いわゆる付和雷同。残念ながら、これでは大きな成果は得られない。むしろ他人とは反対のことをやった方が上手く いく場合が多い、という意味だ。言葉では、わかっていてもなかなか行動に移すことは難しい。

欧米では「リッチマンになりたければ孤独に耐えろ」と教えるのが通例であることからも、この言葉の意味は非常に奥深い。

 ◆買いたい弱気売りたい強気

人間にとって孤独な判断や決断ほど苦手なものはない。最初は聞く気がなくともつい、いつかどこかで他人に意見を求めようとするのが人間である。なぜか?  それは自分の考えや行動を正当化したいからである。やはり、みんな自信がないのである。そこで生まれた格言がこの言葉。

上げ相場の時は買いたいと思いながらも、少し下がって安く買えればと思っている。そのような希望的観測にとらわれた人を私は「ニワカ弱気」と呼ぶ。結局買えないのである。売りたい強気はその逆である。株式相場の世界ほど、昔話を語りたがる人が多い世界は他にないと思う。

「あの時✖✖株は何円で……」という類の話。それは単なる過去の話なのだが、続けて出てくるお決まり文句が「だから今の株価では買えない(売れない)」である。ウォール街の格言を借りれば「相場に過去はない」。相場も人生も前向きな姿勢が大切であると説いている。

「相場に相場を聞いた」の境地はほど遠い?

【相場の見方つかみ方編】

◆閑散に売りなし

 相場が上にも下にも行かず、無風状態になる時がある。これを保合(もちあい)という。株価が動かなければ、売ろうにも買おうにも手が出せなくなる。市場に閑古鳥が鳴くような寂しさが蔓延し、その相場に嫌気がさし、持ち株を投げ出したくなるバイアスが働く。その心理につけ込んでわざと売ってくる人もいて、さらに下げ歩調となってくる。

 ただし、人為的に売り叩いた結果としての下げなので、いずれ我慢していた投資家がその後一斉に買ってくるケースが多い。同時に売り込んだ人も焦って買い戻す状態に陥り、思わぬ上昇相場を現出させる。まさに「閑散に売りなし」とは、そういう状況でうっかり売り込むことを避けましょう、という教えである。

 ◆相場は相場に聞け

 この言葉の意味は非常に重く、かつ無責任な格言であると私は思っている。私は好んで魚釣りはしないが、釣りをする人はまずアタリを探ってから本格的に釣りを始めるという。株式投資もこれと同じ。

買いを考えているなら、まずは打診買いから入る。大切なのはその後。予想通り株価が上昇すればさらに買い増しを進めていく。逆に思うように上がらなかったり、下がり続けるようなことがあった時には自分の判断が誤りであったことを素直に認めて、しばらく様子を見るか、逆に売却をする。これができる人が「相場に相場を聞いた」ということであろう。

虚心に相場に問いかけてみる。それがこの格言の真意であるが、しかし、私はこれがなかなか実践できていない(反省)。

資本市場の“総本山”である東京証券取引所