前回の記事「デサントと伊藤忠の確執 敵対的TOBの可能性を検証してみた」(→記事はこちら)では、デサント<8114>の株価が高いため、伊藤忠商事<8001>の投資目標や予算枠の問題等から、TOBはないまま膠着するのではないかと予想していましたが・・・事態は一転し、1月31日に伊藤忠商事は持ち株比率を4割程度まで高めることを目標とするTOBの開始を公表しました。
各社報道によれば、デサントの石本社長がMBOによる非公開化を画策したものの、MBOスポンサー候補のファンドが伊藤忠との共同投資を求めたため、伊藤忠に相談せざるを得なくなり、伊藤忠の堪忍袋の緒が切れて敵対的TOBに踏み切った模様です。
しかしながら、ここで一気呵成に過半数を取得して子会社化を目指すのではなく、特別決議拒否権の獲得にとどめるとしたのは、やはり投資予算の問題や投資利回りの問題があったことが背景にあるのではないかと思います。
1月31日にTOB公表を受け、デサントの株価は2営業日連続ストップ高となり、2月1日の終値は2,771円まで上昇。7日の終値は2,638円と、公表直前の株価1,871円に対し4割高く、TOB価格の2,800円に迫る水準まで買い上げられています。
しかし本件は、完全子会社化を目指すバイアウトではなく、対象株式は発行済み株式数の10%に満たない7210千株に上限が設定され、上限を超える応募があった場合は抽選となります。よって、現在の株価は応募すればほぼ確実に当せんすることを織り込んだ水準にあると考えられます。
そこで、まずは本件TOBの期待値を算出してみたいと思います。
図表1 TOBの「期待値」
TOBの対象となるのは、伊藤忠商事の持ち株、創業家の持ち株、従業員持ち株会、自己株式以外の浮動株と考えられます。これを算出すると46,836千株となります。仮にすべての浮動株が応募した場合の当せん確率は15.4%となります。
次に、仮にTOBプレミアムを考慮しない「実力」の株価が、TOB公表直前の1,871円であるとすれば、当該株価とTOB価格との差額にこの当せん確率を乗じた期待値がプレミアムの期待値であり、それを「実力」の株価に加算した金額が「期待値」と考えられるでしょう。すると上記図表の通り、デサント株式の「期待値」は2,014円ということになり、現況の株価は「非常に割高である」と考えられます。
では、割高な株価が今後どうなるか、3つのシナリオを考えてみたいと思います。
かつては商取引に欠かせない存在だった手形。手形交換高はピーク時(1990年)の4,797兆2,906億円に比べ2017年は1割以下(374兆1,580億円)にまで減少した。
最近はサラリーマンやOLの副業が盛んのようだ。マイナンバーの導入で副業はバレるのだろうか。マイナンバーと副業税務はどうなっているのだろう。