経営の先行きに不安が高まっているレオパレス21<8848>の施工不良問題を受け、同社株式をめぐる大量保有報告書の動きに注目が集まっている。
米系投資ファンドのブラックロック・ジャパンがレオパレス株式の一部(1.47%)を放出し保有割合を3.94%に引き下げたことが、同社が21日提出した変更報告書で分かった。2月に入り、すでに米タイヨウ・ファンド・マネッジメントも一部売却(1.60%)し、保有割合を4.39%に下げている。
これとは対照的に、英投資ファンドのオデイ・アセット・マネジメントは2月以降さらに買い増しを進め、保有割合を11.04%まで高めている。
テレビ報道をきっかけにレオパレスの施工不良問題が表面化したのは昨年5月末。これ以降の大量保有報告書の提出状況をみると、オデイ、ブラックロック・ジャパン、それに米プリンシパル・グローバル・インベスターズの3社がレオパレス株式に新規取得(5%以上)している。この中で一貫して買い増してきたのがオデイだ。
レオパレスの株価は8日から4営業日連続でストップ安をつけ、500円台だった株価は200円台すれすれまで急落した。レオパレスは7日に1324棟の物件に建築基準法違反の疑いのある施工不良が確認されたと発表。さらに翌8日、2019年3月期の最終赤字が補修工事費用の増大などで400億~380億円にのぼるとの見通しを明らかにした。
大量保有報告書によると、オデイは1月末にほぼ2カ月ぶりにレオパレス株の取得を再開。とくに2月5日以降は13日まで6営業日連続でレオパレス株を取得した。これらの結果、昨年末時点で7.21%だった保有割合は11.04%に上昇し、筆頭格の株主に躍り出たとみられる。保有目的は「純投資」としている。現在のレオパレス株価を底値圏と判断すれば、今後、さらに買い増すことが予想される。
オデイ・アセット・マネジメントは1991年に設立され、ロンドンに本拠を置く投資ファンド。その存在は日本であまり知られていない。
これまでに提出された大量保有報告書をみると、オデイの現在の投資先はレオパレス以外に、DMG森精機<6141>だけ。森精機株式の大量保有は2014年からで、一時、9.85%まで保有割合を高めたが、現在は4.05%に減らしている。
オデイによるレオパレス株の大量保有が判明したのは昨年8月(保有割合5.02%)。9月にプリンシパル・グローバル・インベスターズ(同5.18%)、11月にはブラックロック・ジャパン(同5.41%)の大量保有が明らかになった。今回、オデイが買い、ブラックロックが売りという正反対の動きに出た。当面は静観状態にあるプリンシパルの出方が注目される。
レオパレスは単身者用賃貸住宅の建築請負と転貸(サブリース)を主力とする。施工不良疑惑は昨年5月末にテレビ報道を受けて発覚。その後、くすぶり続けていたが、今年に入って一気に社会問題化し、経営の屋台骨を揺るがす事態となっている。国土交通省は原因究明や再発防止に向けて有識者検討の設置を決めた。
米FMR、米アカディアン・アセット・マネジメントは昨年6月、レオパレス株式の一部を放出し、そろって4%強まで保有割合を下げた。タイヨウ・ファンド・マネッジメントは一度買い増したものの、2月中旬に売りに転じ、保有割合を5.99%から4.39%に減らした。
問題が表面化する前の昨年1月には米ブルックフィールド・インベストメント・マネジメントがレオパレス株式5.11%を新規取得しているが、こちらは今のところ動きがない。
文:M&A Online編集部
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