昨年は経済界での「下剋上訴訟」元年だった。今年はどうなる?

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2022年の「下剋上訴訟」はどうなる?(写真はイメージ)

日鉄、トヨタ、三井物産のオールスター訴訟に

2021年10月には経済界を揺るがす一大「下剋上訴訟」があった。それは国内製鉄最大手の日本製鉄が、国内自動車最大手のトヨタ自動車をハイブリッド車(HV)などの電気モーター部品に使われる無方向性電磁鋼板の特許権を侵害したとして東京地裁に訴えたのである。

中国・宝山鋼鉄が特許侵害で製造した無方向性電磁鋼を購入していたとして、日鉄は大口顧客であるトヨタを訴えた。これに対してトヨタは「先方からは『特許侵害の問題はない』という見解を頂いており」「日本製鉄が、ユーザーである弊社に対し、このような訴訟を決断されたことは、改めて大変残念」とのコメントを発表。

しかし、特許侵害をしている企業が自主的にそれを認めることは考えにくい上に、サプライヤーがユーザーに訴訟をすることを問題視するかのような内容で、トヨタにとっては立場を悪くしかねないコメントだった。しかも、それだけでは終わらない。

トヨタと宝山鋼鉄の無方向性電磁鋼板の取引に関わったとして、日鉄が三井物産も訴えたのだ。日鉄にとっては商社も大口顧客である。製鉄会社の「下剋上訴訟」は自動車メーカーとライバルの製鉄だけでなく、商社をも巻き込んだ。日本を代表する大企業の関係がギクシャクしかねない事態になってきた。

最終的には和解で解決する可能性が高い。その場合は日鉄が200億円の損害賠償請求を取り下げるかわりに、トヨタが日鉄からの無方向性電磁鋼板を現在よりも高い価格で調達することが「落とし所」だろう。2021年の鉄鋼の調達価格交渉で日鉄に押し切られたトヨタにとっては厳しい内容だ。

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