【法律とM&A】法定後見制度と任意後見制度

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 後見人という言葉も、だいぶ一般的になってきました。認知症などにより、自分で財産管理ができなくなってしまった人の代わりに、財産管理を行う人のことを成年後見人といいます。もっとも、成年後見には法定後見と任意後見の2種類の制度があることは、ご存知でしょうか?

 法定後見が、ご本人の判断能力が低下してしまったときに行われる事後の制度に対し、任意後見は、判断能力が低下する前に予めそのようなときに備えて本人の財産管理を行ってくれる後見人を契約で決めておくことができる“事前”の制度です。

 任意後見契約は、公正証書で内容を自由に定めることができます。例えば、財産管理の場面では不動産等の財産の管理・処分方法を将来に備え予め決めておくことができます。また身上監護の場面では、自分が将来入居したい介護施設を前もって決めておくことが可能となります。

 法定後見制度においても、申立時に後見人候補者を立てることにより希望の方を後見人に選任してもらうことが可能ですが、必ず候補者が後見人に選任されるわけではありません。

 これに対して、任意後見制度では当事者が契約によって後見人を予め定めることとなりますので、後見人候補者が必ず後見人に選任されます。任意後見制度を利用することによりご本人のことをよく知っている親族の方や、信頼のおける専門家に後見人候補者をお願いすることができます。

 また、任意後見契約の際にご本人の財産関係を確認することができますのでご本人の判断能力が低下したときなどの万が一にの際にも手続きを円滑に進めることができます。さらに、公正証書遺言と組み合わせることによって、更に万が一のときに備えることができます。

文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所 メルマガ VOL.1042016/2/29より転載

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