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財務デューデリジェンスにAI導入は進むのか?

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仕訳テストにAIを応用した場合

【AI監査ツールを導入した場合のフロー】
① AI監査ツールは、会計システムから取引データなどを読み込む。具体的には、総勘定元帳、補助元帳、得意先/仕入先マスターといったデータの収集が必要となる。
② 監査人は、想定した不正シナリオ(個々の企業独自にシナリオを描く)をもとにテスト方法を選択する。テスト方法としては、条件によるデータ抽出や、カテゴリーごとの集計、複数データの照合結果、計算モデルによる例外値の検出などが可能。
③ 監査人は、AI監査ツールのテスト結果を確認して、フォローアップの方法を考える。
④ 監査人が必要と判断した場合、AI監査ツールは被監査会社へ説明資料を依頼する。
⑤ 被監査会社は、説明資料を準備し、電子ファイルとしてAI監査ツールへアップロードする。
⑥ AI監査ツールは、説明資料を読み込み、③のテスト結果と照合して監査人へ提示する。
 

(出典:監査の変革~どのようにAIが会計監査を変えるのか~/PwCあらた有限責任監査法人)

従来は年に一度または複数回に分けてデータ分析を実施していた。

このため、仕訳データが膨大なことから、①と③の作業に多くの時間を要していた。この問題点を改善するためにAI監査ツールを導入することで、ほとんど人手を介さずに、③のテスト結果出力まで進めることが可能になる。

数年後には、機械学習の理論上、どのようなパターンが例外的な仕訳かという条件設定をしなくても、AIが例外的な仕訳を自動で学習し、重要または異常な仕訳を膨大なデータの中から特定していくことが可能となる。

財務デューデリに波及するにはインセンティブが必要

上記のように、AI監査が発展していけば、次第に財務デューデリにも波及することが予想される。作業側(BIG4の監査人や、財務デューデリの従事者)にとって単純作業による長時間の業務拘束、現場でのヒューマンエラーなどの解消につながる。

AI監査技術の開発が即座に実務への適用とならないのは、企業側での導入インセンティブが十分に喚起されていないことも要因の一つといわれる。さらに、M&Aに伴う財務デューデリ時、対象企業において必ずしもAIが活躍する要件(大量かつ反復のビッグデータの存在)を十分に満たさないことがあり、AI導入のコストパフォーマンス(費用対効果)が見込めない場合もある。

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