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イギリスの黒船「コスタコーヒー」は国内チェーンの勢力図を塗り替えるか?

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※双日「ヨーロッパNo.1カフェブランド「コスタコーヒー」全国展開へ向けた第1号店「コスタコーヒー CIRCLES渋谷店」 8月4日(金)オープン」より

スタッフの獲得と育成が成功のカギに

厚生労働省によると、日本の喫茶店業界のコロナ前の市場規模は1兆円から1.2兆円で、20年間ほぼ横這いで推移。店舗数は2008年の29万件をピークに減少に転じており、2017年の時点で20万件ほどとなっています。コスタコーヒーの新規参入は、既存のプレーヤーにとって市場の奪い合いを加速させる脅威となります。

国内の店舗数はスターバックスが1,846で圧倒的。ドトールが1,275で、その後を追いかけています。

■カフェチェーン店舗数

スターバックス 1,846
ドトールコーヒー 1,275
コメダ珈琲 968
タリーズコーヒー 700
サンマルクカフェ 353

※公式ホームページより筆者作成

コスタコーヒーは価格面の違いから、ドトールやサンマルクカフェの脅威にはならないでしょう。フルサービス型のコメダ珈琲も競合にはなりません。店舗数1位のスターバックスと、4位のタリーズコーヒーがライバルとなります。

コスタコーヒーの一番の強みが知名度。日本コカ・コーラはコスタコーヒーの広告キャンペーンに米倉涼子さんを起用。2022年に調査を行ったところ、ブランド認知度が全世代で6割になったと明かしています。メインターゲットの30~50代の男女に至っては7割に及んでいるとしています。

店舗運営において、ブランド認知が高いことは相当な追い風。渋谷店はオープン前から行列ができていたことからも、顧客の実店舗への期待度が高まってる様子がわかります。

コスタコーヒーは、すでにブランド構築とメニュー開発が済んでいます。ゼロから立ち上げるよりも圧倒的に有利なポジションにいます。店舗拡大のポイントは人材獲得と育成になるでしょう。

高単価のカフェは、居心地の良さが顧客のブランド選好因子に強く影響することが分かっています。掃除や接客、提供スピードなどオペレーションの難易度が高いのです。スターバックスは長い時間をかけて人材を育成し、ブランド力を磨き込みました。アルバイトの獲得難と時給高騰という逆風下の中で、コスタコーヒーが人材獲得や育成に成功すれば、カフェチェーンの勢力図を大きく塗り替えることができるかもしれません。

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