コロンブス自身がユダヤ教徒だったという話もあるが、これは都市伝説の類に過ぎないだろう。しかし、コロンブスの航海に参加した船員のうち3分の1が、コンベルソ、または隠れユダヤ教徒だったという分析もある。少なくとも複数人のユダヤ教徒がこの航海に参加したのは歴史的事実だ。
当時、南インドには「グランガーレ侯国」というユダヤ人国家があるという噂もあったという。さらにコロンブスは、行く先で広く普及していたアラビア語の通訳ではなく、ヘブライ語の通訳を帯同させていた...
前回のコラムでは、コロンブスの処女航海における資金調達額が200万マラベディ(推計価値約10億円)だったことを紹介した。コロンブスは3人の投資家から、25万マラベティを引き出した。残る大部分の資金を調達した大物宮廷ユダヤ人について考察する。
1347年に欧州に上陸したペストは、ほどなく南欧イベリア半島に到達する。そして欧州各地で繰り広げられた惨劇が、この地でもまた繰り返される。ユダヤ教徒は隔離されたゲットーで生活し、衛生面や食事面でユダヤ教の厳しい戒律(コーシャ)を守っていた。
コロナ禍に直面している今、水面下ではコロナ新薬の開発をめぐって激しい競争が繰り広げられている。これは、もちろん開発に成功した場合の利権を狙ってのことだ。まさに中世でも同じことが起こった。引き金は伝染病のペスト。ペストの大流行は経済を変えた。
「株式会社」は大航海時代の商業活動から誕生した。しかし、世間で言われる「株式会社がイノベーションを起こした」は間違いで、「イノベーションが株式会社を生んだ」のである。それではイノベーションを起こす「源泉」は何か?物語は大航海時代から始まる。