株主のややこしい要求に応えなくて良いICOのメリット

ここで、ICOがいったい何なのかを説明します。一言で説明すると、資金調達の手段です。トークンと呼ばれる独自の仮想通貨を発行し、それを企業や一般の人々に販売することで資金を調達します。

ICOが登場するまで、スタートアップの資金調達手段は2つしかありませんでした。

①は、スタートアップのいわゆる第三者割当増資です。スタートアップの投資家は大きく3つに分かれています。エンジェル投資家、インキュベートファンド、ベンチャー・キャピタルです。

株式の発行による資金調達は大きな問題点があります。株主の存在です。資金調達の額が大きくなればなるほど、会社への影響力が強くなります。特に企業が成長したころに多額の投資を行うベンチャー・キャピタルは、株主としての影響力が大きくなります。創業者と株主が良好な関係を築けていれば良いのですが、株主と反発するようなことになれば、創業者のモチベーションは失われて会社の推進力がなくなるというわけです。

②は、わかりやすい例が銀行からの借り入れです。スタートアップの場合、利益も担保もなく、信用力もないため、銀行は貸付を積極的に行いません。社債を発行するなどもっての他です。

メリット・デメリットを示すとこんな感じ。

メリットデメリット
株式の発行【創業者】利益や担保がなくても、アイデア一つで資金調達が可能

【投資家】数%の株式であっても、IPOなどで巨額なリターンを期待できる
【創業者】経営に株主の影響が強く出る可能性が高い

【投資家】小粒のM&Aで大したリターンにならないケースがある
銀行からの借り入れ【創業者】経営に口出しされることはない
【創業者】信用力のないスタートアップ企業には貸付を行わない。または少額
トークンの発行(ICO)【創業者】株式を発行する必要がなく、資金調達が可能

【投資家】エグジットIPOとM&Aに限定されない
【創業者】手続きの煩雑さと、トークンの価値を投資家に認識させるテクニックが必要

【投資家】投資先企業への支配力がなく、プロジェクトが失敗したら大損するリスクが高い

ICOの場合、創業者からとってみれば株主からの圧力をヘッジしつつ、資金が調達できるメリットがあります。そもそもスタートアップが成長する一番の原動力は、創業者の情熱です。ウーバーに投資したことで一躍有名になったアメリカのエンジェル投資家、ジェイソン・カラカニス氏に印象的なエピソードがあります。Twitterのアイデアを聞いて出資話を持ち掛けられたものの、一笑に付して終えてしまったというもの。誰かの無意味な呟きなんて、他人が興味を持つわけはないと判断したのです。後にTwitterが凄まじい影響力を持ったことは皆さんご存知の通りです。後悔したジェイソン氏は「何に投資をするかではなく、誰に投資をするか」という考えに変わったといいます。

プロジェクトが成功するかどうかは、ひとえに人の力。創業者は株主に邪魔されることなく、自分がやりたいように事業を進めることができるのです。投資家からすると、IPOするかM&Aかという選択肢に限定されることなく、仮想通貨の売却でキャピタルゲインを得ることができるのです。エグジットに関しては、もう少し説明が必要でしょう。

ICOの登場まで、スタートアップ企業のエグジットは2種類しかありませんでした。

                          

投資家はリターンの大きいIPOを期待するわけです。しかしながら、スタートアップ企業からすると上場のハードルはものすごく高いです。監査やコンプライアンスももちろんですが、そもそも利益を出すことが難しいです。

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