ワールドが攻勢を強めている。業績の悪化に伴い改革を断行。その後数年で立ち直ったのみならず、さらに進んでファンドによるファッション企業の支援に乗り出すなど新しい事業に果敢に挑んでいる。
東海カーボンが昨年来、M&Aのラッシュをかけている。米国と韓国でカーボンブラックメーカーなど3社を立て続けに買収した。買収資金は約550億円と直近売上高の半分強。今年は創立100周年の節目。次の100年に向けての“仕込み”は万端整ったのか?
経済活動の源であるエネルギー資源。国際石油開発帝石は原油や天然ガスを探り当てる探鉱活動や買収した油田・ガス田の商業開発、採掘した原油・天然ガスを石油精製会社や電力・ガス会社へ販売するなど、エネルギーの「上流部門」と呼ばれる事業を担っている。
マネックスグループが仮想通貨事業に乗り出した。買収したコインチェックを通じて実現したもので、明るい未来を描く。だが、銀行やLINEやヤフーなどが仮想通貨事業への参入準備を進めており、競争が激化するのは必至。果たしてバラ色の事業となるのか。
近鉄エクスプレスは今年創業70年。航空貨物輸送、海上貨物輸送、ロジスティクスを3本柱に日本を代表する国際貨物専門企業だ。本格的な企業買収と無縁だった同社が大勝負に出たのは3年前。売上高の半分近い1400億円を投じた海外M&Aのその後は?
懸案だった出光興産との合併が、ようやく実現に向けて動き出した昭和シェル石油。長らく同族経営で大型M&Aとは無縁だった出光と違い、昭和シェル石油の成り立ちは「M&Aの歴史」そのもの。しかも同社はある国際石油メジャーの設立とも深く関わっている。
レストランやスーパーなどの商空間の設計や施行などを手がけるラックランドのM&A戦略が2巡目に入った。1巡目は商空間を構成する5分野でM&Aを活用した体制作りを実施。2巡目はこれら分野をエリアごとに拡充するためのM&Aを実施する。
日立キャピタルは総合金融会社として世界で活躍の場を広げている。金融を起点に付加価値の高い多様なサービス・ソリューションを提供する。現在、営業資産残高の半分が海外事業。車関連のビークルソリューション事業では欧米を中心にM&Aを活発に展開中だ。
M&Aで巨大企業になった代表銘柄の楽天。大手国内インターネット通販(EC)サイト「楽天市場」で成長し、2017年4月までに国内で10件のEC関連企業買収を成し遂げた。が、2017年以降はEC企業の買収はなく、脱通信販売の傾向が強まっている。
「2020年に人材領域でグローバルNo.1になる」との目標をかかげるリクルートホールディングスの戦略がはっきりと見えてきた。峰岸真澄社長兼CEOがM&Aに積極的な姿勢を表明。最後の仕上げにM&Aが大きな役割を果たすことになりそうだ。
三井倉庫HDは2010年代前半にM&Aによる拡大路線を推し進めた。積極的なM&Aは業界3位が指定席だった同社をトップに押し上げる原動力になった。ただ、名実ともリーディングカンパニーとして地歩を確立するには財務体質の改善など課題が山積している。
ソフトバンクグループのM&A戦略が大きな曲がり角を迎えている。いや、それどころか事業拡大のためのM&Aから手を引くそぶりさえみせているという。前回の「M&Aアーカイブス」(2016年12月23日)掲載以降に起こった、同社のM&A戦略を追う。
エア・ウォーターが産業ガスメーカーと呼ばれなくなる日が近づいてきたようだ。祖業である産業ガスの売上高に占める割合が20 % ほどに低下しており、さらに発電事業に戦略的に投資する計画を表明するなど、脱産業ガスの流れが加速しているからだ。
新日鉄住金が反転攻勢の姿勢を鮮明にしている。中期経営計画で事業投資枠を従来中計の2倍の6000億円と設定。現在進行中のM&A案件はインド鉄鋼大手の共同買収、山陽特殊製鋼の子会社化など目白押しだ。来年4月には「日本製鉄」への社名変更を控える。
オリックスは「金融」と「モノ(物件)」を両輪に事業領域を縦横に広げてきた。リースに始まり、投融資、銀行、生保、不動産、資産運用、環境エネルギー、自動車関連、球団経営まで多方面に及ぶ。そのアクセル役が積極的なM&A戦略にほかならない。
ソニ-が自動車会社になる日は訪れるだろうか。2020年までの3年間は安定した収益が見込める楽曲著作権で支え、その後は車の自動運転で利益を生み出そうとするソニーの戦略が見えてきた。初の商品を多く生み出してきたソニーだけに期待は大きい。
中部電力が「電力再編」の荒波に飲み込まれている。再編相手と目されているのは国内電力最大手の東京電力HD。東電との合弁企業であるJERAは2019年4月に火力発電事業の一本化に踏み出す。中部電と東電の本体同士の経営統合も現実味を帯びてきた。
ミライトHDはNTT向けを中心とする通信工事業界3強の一角を占める。コムシスHD、協和エクシオに続く3番手だが、M&Aに関しては互角だ。M&Aを積極活用し、新エネや電気・空調設備、アジア市場など新事業領域を拡大してきた。
江戸時代に大阪・道修町で産声を上げた武田薬品工業は、数々のM&Aによって成長し、フランス人社長が率いる世界企業となった。日本では過去最高額となる約6兆8000億円を投じるアイルランドの製薬会社シャイア―の買収にも自信たっぷりだ。
世界最大の板ガラスメーカー・旭硝子が積極的なM&Aに乗り出している。しかも、全くの畑違いの異業種で、だ。装置産業であるガラスメーカーだけに、得意の板ガラスへ経営資源を集中して生産量でライバルを凌駕するのが最適に思えるが、同社の選択は違った。
日立造船が今後10数年をかけて売上高1兆円を目指すという壮大な計画を伴った航海に出た。2030年に達成する目標として1兆円の売上高のほかに、営業利益率10%以上、海外売上高比率50%以上という数値を掲げた。
文化シヤッターは建設関連需要で盛り上がる「東京五輪」後を見据えて、海外市場開拓を本格化している。海外売上比率は1%に満たず、大きく出遅れている。その同社が3月、50億円超を投じて初の海外M&Aを実施し、豪州の有力建材メーカーを子会社化した。
大林組は2011年から海外で積極的なクロスボーダーM&Aを展開し、短期間のうちに海外事業を拡大してきた。現在、大林組の海外売上比率は約25%と、国内ゼネコンでもトップクラス。「グローバル展開の優等生」といえる。そんな優等生も大きな課題を抱えている。
積水ハウスが海外市場の開拓に力を入れている。第4次中期経営計画(2018年1月期-2020年1月期)で新たな事業の柱として「国際ビジネス」育成の方針を打ち出したためで、中期経営計画がスタートした直後にM&Aを実施し、米国での住宅販売事業に参入した。
タカラトミーが成長軌道に復帰しつつある。米国事業での構造改革費用がかさみ、過去5年で3度の最終赤字に陥ったが、2018年3月期は2年連続で最終黒字を見込む。タカラトミーが合併で発足して早12年、長いトンネルを抜け、攻めの経営へ視界が開けてきた。