2020年2月、複数の中国企業が協力し、新型コロナウイルスのワクチン開発に携わっているとの現地報道があった。その企業の中には、中国生物技術、康希諾生物、華蘭生物工程、康泰生物などがあり、重慶智飛生物製品もその一つ。今回は重慶智飛生物製品の創業者で、現会長の蒋仁生を紹介する。

フォーブスが毎年発表している「中国の富豪ランキング2019版」によると、蒋仁生は第43位にランクインしている。

小学校教師を辞し、桂林医大に入学

蒋仁生は、1953年に広西チワン族自治区の桂林市にある村で生まれた。6人兄弟の4番目。隣の街にある高校を卒業すると、故郷に戻り、村にある小学校の教師になった。明るく熱心な教師で、児童たちにも人気があったという。

1977年、多くの中国人の運命が変わる出来事が起こる。文化大革命が終結し、12年間中断されていた大学入試が再開されることになったのだ。蒋仁生このチャンスを逃さず、大学の入学試験を受けることにした。その時、24歳。

蒋仁生は、桂林医学高等専科学校(現在の桂林医科大学)に入学することができた。20倍を超える難関だったという。1980年、大学を卒業すると、地元の衛生防疫局(日本の保健所に相当)に就職する。衛生防疫局で副局長にのぼりつめる。

仲間と重慶のワクチン会社を買収

長年、政府機関で働いていた蒋仁生だったが、1999年に退職を決意する。四川省成都市のワクチン会社に就職し、販売管理に携わる。2002年に、仲間たちと四川省重慶市のワクチン会社を買収すると、「重慶智飛生物製品」と改名した。

まず、蒋仁生はワクチンの販売から始めた。最初のヒット商品のきっかけは、2価(A型、C型)の髄膜炎ワクチンの唯一の代理店となったことだった。

2005年に、C型の髄膜炎が流行したが、当時、中国国内のワクチンのほとんどがA型の単価ワクチンを使用していた。蒋仁生が率いる重慶智飛のみが2価(A型、C型)の髄膜炎ワクチンを販売する権利を持っており、その年、同社は2000万ワクチンを販売し、業界内で一躍有名になる。

その後も、重慶智飛は次々に新しいワクチンを市場に投入した。独自に開発した2価(A型、C型)髄膜炎のワクチンのほか、B型インフルエンザのワクチン、子宮頸がんワクチンの販売も手がけるようになる。

2010年、深圳市場に株式上場

蒋仁生は買収した重慶智飛で際立った手腕を発揮した。もともと、重慶智飛はワクチンの代理販売店だったが、次第にワクチンの生産や研究開発の体制を整えた。他社との合従連衡を進め、資産規模、収益規模、収益性を飛躍的に高めた。

重慶智飛は2008年、自社製品の販売に乗り出した。2010年には、深圳証券取引所に上場し、重慶市で2番目のメインボードの企業となった。

重慶智飛は現在、中国有数の総合的な民間ワクチン会社に成長。傘下の3子会社も高い研究開発力を備え、バイオテクノロジーグループ企業を形成する。蒋仁生とその家族は、四川省にある不動産開発会社と陽光ホテルの経営にも携わっている。(敬称略)

文:M&A Online編集部