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スーパーのパートからコンサルタントへ 元専業主婦の三段跳び人生(中)
人材育成・研修の会社マリン代表の中昌子さんは、人のために働く喜びを感じ、顧客満足・顧客感動を生み出すことができる「わくわく社員」を全国の企業に「増殖」させる活動に取り組んでいる。
人材育成コンサルタントでマリン(東京・神田)代表の中昌子さんは、「わくわく社員増殖コンサルタント」という肩書きで、企業に生産性向上、顧客満足度アップを生む研修プログラムを提供している。
「急に変わることはできないけど、自分の目の前の仕事をすてきな仕事なんだと思えるように、少しずつわくわく志向に変えていくお手伝いができたらいいなと思っています」
大事なのは、まず自分がわくわくすること、そういう職場環境をつくることだという。
「顧客満足度を高めるには、まず自分が仕事に誇りを持って、わくわく楽しく働くということ。スタッフがわくわく楽しく働く姿は、お客様から見てもわくわくします。ただマニュアル通りに接客するのではなく、ほんとにこの仕事が好きなんだという姿をお見せすることが、すごく大事かなと思います」
介護施設を対象にしたコンサルティングにも取り組んでいる。介護の現場は低賃金が嫌われて、スタッフの離職が社会問題になっている。笑顔で働けといわれても難しいのでは?
「離職率を下げ、定着率を高めるには、やっぱりわくわく社員を増やし、わくわくリーダーを育てること。職場の環境が改善すれば、介護の人たちもやる気、モチベーションが高まるのではないでしょうか」
2年前に長男が千葉県流山市に開業したスーパー「私のわくわくスーパー」のゼネラルマネージャーに就任。店のコンセプトは「お客様も働く人もわくわくするスーパー」だ。
今の仕事のやり甲斐について尋ねると、「専業主婦の時と何が違うのか。多分出会う人の数です。今までたくさんの研修をしてきましたが、社長さんをはじめいろんな人との出会いがある。その数だけ喜びがあるし、自分の世界も広がる」と笑顔で答えた。次はどんな人に出会えるのかなと思うと、胸がわくわくしてくるそうだ。(おわり)
文:大宮知信
1948年 茨城県生まれ。ジャーナリスト。政治、教育、社会問題など幅広い分野で取材、執筆活動をつづける。主著に『ひとりビジネス』『スキャンダル戦後美術史』(以上、平凡社新書)、『さよなら、東大』(文藝春秋)、『デカセーギ─漂流する日系ブラジル人』『お騒がせ贋作事件簿』(以上、草思社)、『「金の卵」転職流浪記』(ポプラ社)などがある。
人材育成・研修の会社マリン代表の中昌子さんは、人のために働く喜びを感じ、顧客満足・顧客感動を生み出すことができる「わくわく社員」を全国の企業に「増殖」させる活動に取り組んでいる。