中国企業の経営者を紹介するシリーズ。今回はタクシー配車サービス「DiDi」を運営する滴滴出行(ディディチューシン)の創業者で、CEOの程維(チェン・ウェイ)を取り上げる。

滴滴出行は、日本でもソフトバンク・グループとの合弁会社「DiDiモビリティジャパン」を設立し、2019年にサービスを開始している。2016年には米国の同業大手ウーバー(Uber)の中国事業を買収した。

アリババに入社し、頭角を現す

程維は1983年、江西省上饒市に生まれた。2005年、北京化工大学を卒業すると、アリババ・グループに入社した。配属先はアリババ法人部門の営業だった。

2011年、程維は業績優秀を認められ、当時アリババで最年少のエリア・マネージャーに昇進した。入社から6年間、程維は主にインターネット製品の販売に携わり、多数の法人顧客と人脈を築き、販売能力と営業経験が蓄積されていった。

さらに程維はアリババ・グループの「支付宝(中国)網絡技術有限公司」の個人向け事業部門の副本部長に就く。アリババ・グループの支払事業を請け負う会社で、後に「アリペイ」として有名になる、

この会社で程維は、個人顧客に対するアリペイの運用を担当した。社内での立場も営業責任者からプロダクト・マネージャーに変わった。こうしたアリペイでの経験が独立の道を切り開くことになる。

2012年、タクシー配車サービスの会社を設立

2012年、程維はアリペイを退職すると、仲間と共に「小桔科技」という会社を設立する。AI(人工知能)を活用したタクシー配車アプリ「滴滴打車」の試作・運用に着手した。設立当初、程維は100社以上のタクシー会社に営業したが、1社も彼らのシステムを採用してくれる会社はなかったという。

その後、北京市昌平区にある銀山タクシーが「滴滴打車」と契約した最初の会社になった。程維はタクシー・ドライバーの定例会議でサービス内容を紹介したところ、当時、銀山タクシーで働く約100人のドライバーのうち、スマートフォンを持つのは20人に過ぎなかったという。

タクシー配車アプリ「滴滴打車」は2012年9月に運用がスタートした。当初は、アプリのダウンロード数はわずかだったうえ、オンラインでつながったタクシーは16台しかなかったという。しかし、その2か月後に初めて100台を超えるタクシーがオンライン化された。サービスが徐々に広がるにつれ、ベンチャーキャピタルから300万米ドル(約3億1600万円)の出資を受けることが決定した。

2013年になると、「滴滴打車」と同じような配車アプリのライバル企業が十数社出現するまでになる。2014年には大型の資金調達を実行した。中国のネットサービス大手テンセントを含む複数の企業から、総額1億1800万米ドル(約124億円)の出資を得た。

2年後に1日の配車回数500万回を突破

事業開始から2周年にあたる2014年9月、「滴滴打車」は約300都市をカバーし、サービスを利用するタクシー運転手数は100万人を超え、乗客のユーザー数は1億人を上回るまでに成長した。1日の配車回数は500万回を突破した。「滴滴打車」は世界最大の配車アプリになったのである。