中国企業の経営者を紹介するシリーズ。今回は、吉利(ジーリー)汽車の創業者で、浙江吉利控股集団有限公司(ジーリー・ホールディング・グループ)会長の李書福(リー・シューフー)を取り上げる。

2010年、ジーリー・ホールディング・グループは、米国フォード・モーター傘下のボルボ・カーズの買収を発表した。ボルボ・カーズはもともと、フォードが1999年にボルボ・グループから買収した乗用車部門だが、経営不振に陥っていた。その同社を傘下に収め、立て直しに着手した。現在、吉利汽車とボルボの合弁企業は中国の成都市と大慶市に工場を持っている。

高校卒業し“写真屋”でひと儲け

1963年、李書福は浙江省台州市の農村に生まれた。4人兄弟の3番目。高校を卒業後、進学せず、社会に出る道を選んだ。1982年、19歳のとき、父親がくれたお金を元手にし、写真の商売を始める。

写真の商売といっても、「写真館」を構えたわけではなかった。カメラを購入すると、自転車に乗って、街中や公園などで人々の写真を撮った。当時は、誰もがカメラを持っている時代ではなく、公園などには李書福のような“写真屋”がたくさんいる時代だったという。李書福はこの“写真者”ビジネスで稼ぎ、半年後には「写真館」をオープンするまでになる。

後に、李書福は当時をこう振り返っている。「私は浙江省台州市の貧しい農村で育った。もともとそういう環境だったため、苦労を惜しまず、貧困を恐れず、とにかく、裕福になることを目指していた」

貴金属販売から冷蔵庫製造へ

写真館を運営していた李書福は、自分でカメラを組み立てることもあり、カメラの部品などを購入していた。カメラを組み立てる際、カメラから金や銀などの貴金属を分離する方法を見つけ、それらの貴金属を売るようになる。写真館の経営状況は悪くなかったが、李書福は迷わず写真館を閉店し、貴金属販売を始めることにした。

このビジネスでさらに利益を上げた李書福は1984年、兄弟たちと冷蔵庫の部品工場を共同設立した。21歳になっていた李書福は、工場長をまかされることになる。1年後、さらに大きな決断をする。冷蔵庫の部品ではなく、冷蔵庫そのものの製造に着手するのだった。