「小南国」の国際天食グループの創業者で、現会長の王慧敏(ワン・ ホイミン)を紹介する。現在の中国を代表する女性経営者の一人でもある。

上海で1987年に1号店をオープン

国際天食グループは、以前は「小南国グループ」という名称を使っていたが、2017年に現在の名称に変更した。「小南国(シャオナングゥオと読む)」を聞いたことがあるだろうか。中国では有名なレストランのチェーン店である。中国に滞在したことがある方であれば、ご存じの方も多いのではないだろうか。特に上海では代表的なレストランの一つで、比較的早い段階から営業を始めていた。

国際天食グループは、2012年に香港上場を果たすと、2014年には、ポッカサッポロフード&ビバレッジの香港子会社で飲食店を経営していた「ポッカ香港」を買収した。また、「俺のイタリアン」や「ドトールコーヒー」など日本ブランドの中国進出にも投資を行っている。

王慧敏の祖父も祖母も商売を営んでいたという。祖父母の商売は、飲食業ではなかったが、幼少の頃から少なからず影響を受けていた。後に、自分のことを、ビジネスの遺伝子を持って生まれてきたと語っている。

30歳になった時、王慧敏は当時、最も安定した職であった国有企業の勤めを辞める決心をした。ビジネスを始めたいと思っていたからだ。彼女は食べることが好きだったので、レストランを開こうと思い、上海市の北京路に近い長沙路にある店舗を手に入れた。ここは、面積が10平方メートルほどしかなかったので、4、5つのテーブルを置くといっぱいになるような小さな店舗だった。

1987年、第1号の「小南国」レストランがオープンした。小さなレストランだったが、これが大きく「当たる」ことになる。王慧敏は、食材にも非常に気をつかい、隠れ家的レストランとして、上海のお金持ちたちの人気を呼ぶようになる。

小南国(上海)…photo by:Marc van der Chijs

香港に進出し、香港市場で上場

当時の上海で、人気あるレストランのほとんどが「黄河路」沿いにあった。この通り全体の飲食業は、非常に好調だったので、どのレストランも、隣の敷地に店舗を拡大し、通り沿いで自社の規模を拡大したいと狙っていた。

そんな中、王慧敏も次のチャンスを狙っていた。1号店は、店舗が小さ過ぎ、増えてきた顧客を受け入れられなくなっていた。1995年、王慧敏は、黄河路沿いに100平方メートルを超える第2号「小南国」レストランをオープンする。

この2号店も成功を収める。当時、多くの飲食業が、上海で成功した後に、北京へと拡大していったが、王慧敏が、選んだのは、北京ではなく、香港だった。2012年には、香港市場で上場を果たす。

世界17都市に80店舗以上を展開

黄河路から香港に至るまで、王慧敏は、自社レストランのブランド、つまり自社ブランドの確立を考えてきた。そのために、王慧敏は、厳選された食材と素晴らしいサービスが欠かせないと考えていた。

食材を選択する際、王慧敏は、細心の注意を払った。さらに、サービスの細やかさも重要だった。優れた食材と細やかなサービスにより、小南国レストランはリピーターを獲得したからだ。

香港での成功により、小南国は徐々に他の都市に拡大し、現在、小南国、上海小南国などの自社ブランドは、世界17都市に80以上の店舗を展開している。

カフェ、西洋料理…多角化も推進

近年、中国では接待などを禁止する政策を打ち出したため、比較的高級な中華料理店であった小南国は大打撃を受けた。その結果、国際天食グループは飲食チェーン店を経営するという軸を持ちつつも、中華料理でも今までとは異なるタイプのブランドを展開したり、カフェや西洋料理などの海外ブランドを誘致したりと、多角的な飲食店運営を目指している。

このような国際天食グループの戦略上に、ポッカの買収、俺の系列のレストランやドトールコーヒーとの提携があったとみられる。国際天食グループの動向とともに、王慧敏の今後の戦略にも注目していきたい。(敬称略)

文:M&A Online編集部