今回はTCL集団の会長である李東生(リ・トンシャン)を紹介する。TCL集団は中国の広東省恵州市に本社を置く総合家電メーカーで、世界中に拠点を持つ。TCL集団は1981年に香港企業との合弁会社としてスタートしたが、これは中国国内で初めて設立された13社の合弁企業のうちの1社だった。

TCL集団の前身は「TTK家庭電器(恵州)有限公司」。当初は録音テープを製造・販売していた。その後、固定電話や、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電、携帯電話、液晶ディスプレーなどの分野に進出した。2004年には深圳証券取引市場に上場した。

TCLのトップになった後、外国企業を誘致

李東生は1957年、現在の山東省恵州市で生まれた。文化大革命の影響で大学の入学試験が休止されていたが、1978年、その復活1年目の受験生として、華南工学院(現在の華南理工大学)に入学した。

1982年、大学を卒業する際、政府機関で公務員として働くという比較的安定した就職を選ぶこともできたが、そうはしなかった。選んだのは当時、恵州に設立されたばかりの会社。それが、TCL集団の前身である「TTK家庭電器(恵州)有限公司」だった。李東生は43番目の従業員としてTTKに採用された。

1986年、李東生は「広東恵州市工業発展総公司」の誘致部主任を任されるようになる。恵州市に設立する合弁企業の相手先として外資企業を誘致する部門で、オランダのフィリップなどの多国籍企業を相手に交渉を行い、何社かの外資企業を誘致することに成功した。

米の家電展示会が転機に

1990年に、李東生は初めて米ラスベガスで行われた家電製品の展示会に参加する機会を得る。そこで、外国企業の製品を目の当たりにし、中国の製品との差異を感じることになる。そして、ますます自社の発展に尽くす決意を固めた。

1991年、李東生は上海支社の設立を決定する。上海では革新的な販売モデルを作り出し、マーケティングのためのネットワークを創設した。恵州のTCL集団では28インチの大画面液晶テレビを売り出し、ヒットさせる。

積極的な買収戦略

TCL集団は2005年頃から、世界各地で買収に取り組んだ。李東生は積極的に外国企業の合併と買収を実施し、中国企業の国際事業の先例を作った。海外28カ所の研究機関と22カ所の製造拠点を保有し、製品は160の国・地域で販売されるまでになった。TCL集団のカラーテレビの販売量は長年、全世界のトップランクとなっている。

2014年には、三洋電機のメキシコにおけるテレビ工場を買収。三洋電機は同工場で米ウォルマート向けテレビを生産しており、買収後もウォルマート向けに生産した。

2015年に、米ヒューレット・パッカードの子会社パームを買収。パームは携帯情報端末やスマートフォンを開発・製造する。2016年にカナダ・ブラックベリーからライセンス供与を受け、「BlackBerry」ブランドの携帯情報端末の設計、製造、販売、カスタマーサポートなどを提供している。

文:M&A Online編集部