会計の仕事は趣味の延長

前職の日本IBM時代、コンピューターの営業マンから会計の専門家に転じた。中澤さんは現場の仕事より、コンサルティング会社のアドバイザー、セミナーの講師、モデレーター(司会・進行役)を務めることが多い。一般の企業から声がかかれば相談に乗る。

老後の資産形成が問題になっている。還暦になった人の255%は100万円未満の貯蓄しかないそうだが、中澤さんは「経済的な面での準備は完了している」というから、うらやましい。積極的な営業活動はしていない。売り上げの果実はクライアントのお布施次第。

「会社間の契約のように、この値段でなきゃいけないということはなく、個人事業主ですから、それこそ阿吽の呼吸で、ご相談に応じるということですね。バリバリ稼ぐつもりはない。こんなことを言うと申し訳ないけど、趣味の延長でやってるような感じですので」

IBM時代は500人の部下を抱えることもあったが、いまは部下を持たずに1人で多くの経営者に会計・財務のノウハウを伝授し、会社に頼らない生き方を貫くことになった。

「会計というのは結構奥深いところがあり、そういう分野の仕事、あるいは話をすることそのものが楽しみみたいなもので、そういう意味では私の価値観、体質が合ったのかもしれません」と話す。前職では営業で得意先を走り回ったが、いまでは会計が天職だ。

今後は「若い人たちを邪魔しない程度に、リアルな世界と付き合っていければいいかな」と話す。サラリーマンならお役ご免となる年齢だが、「仕事の声がかからなくなれば、自然に」辞めることになるだろうと思っている。講演や執筆活動のために、グローバルな経営管理や財務に関する最新情報を仕入れ、常にブラッシュアップの努力は怠らない。そういうモチベーションが低下した時が「終わりのタイム」だと思っている。(おわり)

文:大宮知信