直売所の運営は難しい時代

小さな流通研究所代表の鎌田定宗さんは直売所の立ち上げ、運営のアドバイスが主な仕事。地元の食材を使ったレストランの経営相談も手がける。

「直売所の価格決定権は農家にある。農家が自分で値段を決められるということです。あなたの作ったトマトはおいしいねと消費者にダイレクトに言われる。そういう喜びもある」

それによって生産者としての誇りを持てるだけでなく、収益も確保できる。地産地消を推進する活動拠点であり「農家が少しでも元気になってもらうための施設」でもある。

だが、いいことばかりではない。農産物は価格競争になりやすい商品だ。同じ時期に同じ野菜を複数の農家が出荷することになる。同じナスやキュウリが並んでいたら、安い方に手が伸びる。消費者にしてみれば安い方がいいに決まっている。

直売所も大規模化が進み、つぶれるところも出てきている。作れば客が来る時代はとっくに終わった。そこで鎌田さんのようなコンサルタントが指導に乗り出すことになる。

「やり方次第ですよね。小さいところでも、一生懸命やっているところはお客さんのリピートがある。きちんとしたこだわりを持って品揃えができればお客さんは間違いなく来ます。大事なのは生産者や出店者がどこまで本気になって経営に取り組むかということです」

品揃えのコンセプトがいい加減だったり、経営戦略が中途半端だと失敗する。その本気度は必ずお客に伝わるという。そこが直売所経営の醍醐味であり怖いところだ。(次回は6月5日掲載)

文:大宮知信