佐川とヤマト、「巣ごもり需要増」で明暗くっきり。その理由とは

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値上げを持ち出せば、自前の配送網

たまらずヤマトは、2017年春に配送料金を値上げ。これを受けてアマゾンは地方運送業者を利用した自前の配送網整備に乗り出し、同社の全配送に占めるヤマトの取扱高は2017年春の約7割から2年後の2019年春には約3割に激減した。 

アマゾンの荷物に翻弄されるヤマト(Photo by DMCA

その結果、2019年9月中間決算での同社デリバリー事業の営業損益が前年同期の149億8000万円の黒字から、35億6200万円の赤字に転落。たまらず2019年夏にヤマトは、アマゾンに対して配送料金を値下げする代わりに引受個数を増やす交渉で合意したとされる。

そこにコロナ禍でアマゾンからの荷物が急増した。業績は改善できたものの、値引きによる取扱量の増大で繁忙にもかかわらず増えたコストを補えず利益は思うように上がらない。アマゾンから離れると収益は立たず、近づけば繁忙によるコスト負担が重くなる。

ヤマトはスマートフォンを使って不在時に「置き配」の場所を指定できるサービスで再配達を減らすなどのコスト削減に取り組んでいる。しかし、アマゾンからの料金値上げがない限り、利益率の向上は難しい状況だ。

とはいえ、値上げ交渉は厳しい。地方運送業者を巻き込んだアマゾンの自前配送網拡大は、値下げによりヤマトの荷物取扱量が増えたことで停止したという。ヤマトが再び値上げを持ち出せば、アマゾンが自前配送網を再び拡大して発注量を減らす可能性もある。ヤマトにとっては悩ましい状況が続きそうだ。

文:M&A Online編集部

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2017/03/07

日立物流が日立製作所の物流子会社というのは過去の話。大手企業の物流子会社を次々と買収するなどM&Aを活用してグローバルな総合物流会社へと進化している。佐川急便との資本業務提携も進め、将来の経営統合も視野に入れる。