トヨタ人身事故で浮上した自動運転車最大のリスクは「人間」?

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選手村で接触事故を起こした自動運転車「e-Palette」(同社発表資料より)

人間が運転に関与しないと困る事態も

ならば「自動運転車に問題なし」なのかと言えば、そう簡単な話ではなさそうだ。もしそうならば人間が全く運転に関与しない方が良いということになる。だが、今回の事故でオペレーターが走行を再開させたということは、自動運転車が危険と判断して停止した後の情報処理に問題がある可能性が高い。

例えば横断歩道で自動運転車が停止した後に歩行者が横断しなければ、いつまでも発進できないことになる。歩行者が「お先にどうぞ」と合図をしても、それを自動運転車が確実に判断するのは難しい。「自動運転車が停止した場合、歩行者は必ず先に移動しなければならない」というルールを設ければ、こうした問題は解消できるが現実的ではないだろう。

ましてや動かせないような障害物を人間と誤認識した場合、手動操作機能がなければ自動運転車は立ち往生することになる。これでは自動運転車の実用化は難しい。イーパレットは一定の条件下で全ての運転操作を自動化する「レベル4」の自動運転車だ。人間が操作に介在しないと運用できないとなると、自動運転車の「存在意義」が問われることになる。

半面、自動運転車の社会制度的な問題点がクリアになったとも言える。警察が自動運転車の公道走行に慎重な理由は「事故を起こした際の責任を誰が負うのか」が不明確な点だ。今回の事故のように自動停止した後の手動再開で事故が起これば、操作した人間に過失責任を問える。

トヨタは31日15時から選手村でイーパレットの運行を再開。まだ見えていない自動運転車の課題を見つけるためにも、安全に最大限の配慮をしながらデータを集め、実用化に向けた開発が加速することを期待したい。

文:M&A Online編集部

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