様々なジャンルの音楽カセットテープを販売するリアル店舗の運営に取り組むwaltz代表の角田太郎さんは、ネット通販大手のアマゾンに14年勤務したインターネット通販のプロフェッショナル。そんな人がなぜいま、カセットテープを販売するリアル店舗の経営に乗り出すのか。「アマゾンではできないことがやりたかったからだ」という。

世界でも例がないカセット専門店

起業すれば自分の思い通りに仕事ができる。「会社が大企業になって、すごく安定的に回っていく状況にちょっと飽きてきていた」ということもあった。

日本人は安定志向が強い国民性。リスクを恐れる人が多く、欧米に比べ起業家が出てこないのもそうした安定志向が原因だろうといわれている。そういう意味では、角田さんは今の日本人とは逆のタイプの人かなと感想を述べると「そうだと思います」と頷いた。

アナログのカセットの販売はトレンドに逆行しているようだが、うまくやれば必ず話題になるという自信があった。周りに猛反対されたが、世間の流行とは正反対のことをやればメディアが注目するはず。目論み通り、メディアの取材が殺到した。

ネット通販は行わない。SNSによるPR活動も行っていない。わざわざ宣伝に金をかけなくても、メディアが競って宣伝してくれた。口コミの威力もすさまじかった。アナログの音源を好む人の間では「カセットと言えばwaltz」とまでいわれるようになった。

商品はロックやポップス、ジャズなどの洋楽が中心。違う雰囲気になってしまうので、演歌は扱わない。世界中から毎日のように、新しいカセットテープが送られてくる。カセットの専門店は世界でも例がない。だから競争相手がいない。経営は順調だ。2年目から黒字経営を維持している。「すごく利益率の高いビジネスになってます」とほほ笑んだ。(次回は8月22日掲載)

文:大宮知信