日本酒文化の発信拠点に

公認会計士の宮井敏臣さんは、どぶろくの店「にほんしゅほたる」の店主でもある。蔵元に対して経営のアドバイスをする中で、改めて日本酒の味や文化を再認識し「自分も飲食店の経営者になれば、酒蔵や飲食店に対してリアルなアドバイスができるのでは」と東京・神田に店を出した。

蔵元との関わりの中で 財務や税務の仕事だけでなく、日本酒の杜氏にまでなってしまうのだから、仕事熱心な人なのだろう。

ビールのパブは珍しくないが、日本酒の醸造所を併設するブルワリーパブは、全国でもほとんど例がない。「日本で一番小さい酒蔵です」と胸を張る。老舗の酒蔵と競うつもりはないが、単なる副業ではない。

「作りたてのお酒、フレッシュなどぶろくが飲めるというのがウリで、品評会に出して一番を取りますということではない。そこそこおいしいものができていると思っております」という。

日本酒の市場は年々縮小している。ピーク時3000軒あった酒蔵は半減。消費者の好みが多様化し、クラフトビールのような個性豊かなクラフト酒はブームになっている。

「日本酒業界は瀕死の状態にある。販売と経営の両面で酒蔵さんや飲食店の支援をすることが、日本酒マーケットの振興、日本酒文化の振興に役立つだろうと思っています」と力を込める。

新しい分野に挑戦して3年が経った。神田という地の利を生かして、「にほんしゅほたる」を日本酒文化の発信拠点にしていきたいという。

「地方の蔵元に行くのは大変なので、ここでお客さんに酒造りの体験をしてもらうのもいいし、行政や商店街の協力も得ながら、どぶろく祭りなんかも開催したい」と次々にアイデアが飛び出す。

文:大宮知信