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食品ロス削減をビジネスに、元商社マンの社会貢献事業(上)

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食品ロス問題の解決を目指すグラウクス社長の関藤竜也さん

元商社マンが食品ロスの削減に取り組んでいる。グラウクス(東京都品川区)が開設したショッピングサイト「KURADASHI.jp(クラダシジェーピー)」は、ネット通販のフードシェアリングサービス。賞味期限が迫った食品や季節限定商品など〝わけあり〟商品の提供を供給側に呼びかけ、ネット上で最大97%の値引きをして販売する。

価格には社会貢献活動に取り組む団体などへの寄付金も含まれおり、企業が協力しやすい仕組みになっている。「KURADASHI.jp」のユニークな点は、企業が在庫を処分できるだけでなく、消費者も商品を安く購入できるというメリットがあり、しかも社会貢献に役立つということだ。グラウクスの関藤竜也社長(47)に、サービスの狙いについて話を聞いた。

大量の食品ロスを減らしたい

まだ食べられるのにゴミとして捨てられる食品ロスは、年間約620万トン。この数字は日本の米の生産量に匹敵する。これはノーベル平和賞を受賞したマータイさんじゃないけど、実にモッタイナイ。飽食日本のいわば〝恥部〟ではないか。ということで、この問題の解決に立ち上がったのが、グラウクス社長の関藤竜也さんだ。

2015年2月、社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI.jp」を開設。食品廃棄物を減らす仕組みをビジネスにつなげた。いわゆるソーシャルビジネスだ。

阪神淡路大震災の体験が、起業の根底にある。当時、大阪・豊中に住んでいた関藤さんも被災。被害が比較的軽かったため水や食料を持って神戸へ救援に行った。だが個人の力には限界があり、社会的な問題は「みんなで取り組むことの大事さを身にしみて感じた」

大学卒業後、一部上場企業の総合商社に入社。廃棄される寸前の食品を集めて消費者に安く提供し、食品ロスを減らす新規事業を会社に提案した。十分ビジネスになる自信はあったが「人の食いかすみたいなもので食べるのが商社ではない」と一蹴された。

その後商社を辞め、12年間経営コンサルタント会社に勤務。クライアントに食品メーカーが多く、商品がゴミとして大量に捨てられる現状を見て、食品ロスの問題を根本から解決する仕組みの必要性を感じていた。今回の起業は3度目の転身だ。(次回は8月2日掲載)

文:大宮知信

大宮 知信 (おおみや・とものぶ)

1948年 茨城県生まれ。ジャーナリスト。政治、教育、社会問題など幅広い分野で取材、執筆活動をつづける。主著に『ひとりビジネス』『スキャンダル戦後美術史』(以上、平凡社新書)、『さよなら、東大』(文藝春秋)、『デカセーギ─漂流する日系ブラジル人』『お騒がせ贋作事件簿』(以上、草思社)、『「金の卵」転職流浪記』(ポプラ社)などがある。