「黒船亭」社長の須賀光一さんは建設会社からアパレル業界へ、さらに飲食店経営という三段跳び人生の感想について「お前には無理と言われたけど、新しいことにチャレンジするのは楽しいですよ」とほほ笑む。

創業者感覚でビジネス 

学校や高層住宅などの箱作りからはじまり、家業を継いで服の小売り、そして新たに洋食屋を開業。衣食住に関わるすべての仕事を経験したことになる。 

開業30周年を機に、空き室になっていた7階フロアを「K-SPACE」の名称で、パーティやセミナーなどの多目的レンタルスペースに改造。こけら落としに東京芸大のオペラの音楽家を呼んでコンサートを開いた。結果は大成功。プロのミュージシャンによるディナー&ライブや、ワインのソムリエと食事を楽しむイベントも好評だ。

「ただご飯だけ食べてもらうのではなく、いろんなイベントを組み合わせながらやっていこうと思っています。30 周年をリスタートのいいきっかけにしたい」 。

先代が築いた財産を引き継いだから、今の店ができた。須賀さんも「恵まれた環境にあったことは事実」と認める。「3 代目と言っても、僕の場合仕事が変わっているから、常に創業者的な感覚でやっている。

「つらい思いはいっぱいありますが、3 代目でつぶれないだけでもいいんじゃないかと、自分で言ってますよ」と笑う。 変化の激しい時代。顧客のニーズや流行はめまぐるしく変わる。老舗の伝統にあぐらをかいていると、先細りとなりかねない。「崖っぷちの危機感は常に持っている」という。

店は順調だが、「サービスが劣化しているかもしれない。そのためにも新しいことをやらねば」と次の手を考えている。「黒船」は今後も平穏な航海が続くか、難破することはないか。〝創業者〟としては今が一番の勝負時かも知れない。(おわり)

文:大宮 知信