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家業の革小物屋を継いだ元OLの使命感(中)

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創業100周年を機に、オリジナル・ブランド「AZUMAYA」を立ち上げた東屋の6代目社長木戸麻貴さん

 東屋の6代目社長木戸麻貴さんは、2004年に墨田区の「小さな博物館運動」に共鳴して母親の一江さんが会社の隣りに作った袋物博物館のWEBページをオープン。同区の観光MAPにも載せてもらった。これがきっかけで博物館を訪れる人が増えたという。

 だが、伝統技術を今後も継続発展させていくには、博物館で製品を展示するだけでは不十分。新しい販路を開拓する必要がある。

 前職はコンサルタント会社だから、ホームページを立ち上げた方がいいとか、こうした方がいいのではと、経営に関するアドバイスをする人がいる。いい意味でのお節介だ。

「みなさんのお話を聞いて、新たなお客様が開拓できるかもしれない」とホームページを立ち上げ、販路開拓に取り組んだ。女性起業家は業界のしがらみにとらわれず、斬新な発想で新しいビジネスを考える人が多い。ただ、ノベルティグッズは規模拡大が目的ではなく、革小物製品の良さを広く一般の人に知ってもらいたいからだという。博物館に併設されたショールームで財布や名刺入れなどの小物を購入することも出来る。

オリジナル・ブランドの開発

「たくさん作っても売れる時代じゃない。それより質のよい革素材で作られたいいものがほしいという人に、確実にお届けする体制を確立したいなということです」

 創業100周年を機に、オリジナル・ブランド「AZUMAYA」を立ち上げ、小売りも始めた。高級ブランド化に成功すれば、ある程度利益も確保できる。職人の工賃を上げることもできるし、地位が向上することによって職人になりたい人が増えるかも知れない。消費者にとってもいいものが安く買えるという〝一石三鳥〟の効果が得られる。(次回は3月21日掲載)

文:大宮知信

大宮 知信 (おおみや・とものぶ)

1948年 茨城県生まれ。ジャーナリスト。政治、教育、社会問題など幅広い分野で取材、執筆活動をつづける。主著に『ひとりビジネス』『スキャンダル戦後美術史』(以上、平凡社新書)、『さよなら、東大』(文藝春秋)、『デカセーギ─漂流する日系ブラジル人』『お騒がせ贋作事件簿』(以上、草思社)、『「金の卵」転職流浪記』(ポプラ社)などがある。 


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東京・両国の革小物製造会社 東屋は東京駅の開業と同じ、1914 年(大正3 年)の創業。その6 代目社長の木戸麻貴さん(44)は、近代的なビジネスの世界から伝統産業へと転身した元OL。「ミスすみだ」に選ばれたこともある江戸っ子美人だ。