M&Aのメリットは、ヒト・カネ・モノ・情報といった経営資源を短期的に獲得できることであり、その目的は、規模の拡大、シェアの拡大、事業の多角化、弱点の強化、など様々である。

 今回は、これまで15件に及ぶM&Aにより関連事業への多角化を行い、着実かつ急速に事業を拡大してきたアルコニックス<3036>の経験と成功の秘訣について、同社経営企画部の小井川明良担当部長に話を聞いた。同社はアルミ、銅、ニッケル、レアメタル・レアアースなどの非鉄金属の商社流通事業と製造事業を手がけており、2001年のMBOによる第二の創業を経て、2006年にJASDAQ、2008年に東証二部、2010年に東証一部にそれぞれ上場を果たした。

企業にプラスアルファを加え続けるM&A

−−MBOによって第二の創業を果たされました。その経緯は?

 もともと当社は日商岩井(現:双日<2768>)という商社の非鉄金属の製品部門がスピンアウトしてできた会社です。非鉄部門というのは、アルミニウムや銅などの金属を扱うのですが、多大なコストがかかる割に利益率の低い部門であることから、景気が低迷し経営が厳しかった2000年当時、非鉄金属製品の子会社2社と日商岩井の本社非鉄金属製品部門を統合する形で日商岩井アルコニックス(現 アルコニックス)として分社化されました。その後、当時の富士銀行の投資ファンド会社からの提案がきっかけとなり、2001年にMBOによる第二創業を果たしました。

−−M&Aを展開していくきっかけとなったのは?

 当社の第二創業当時はM&Aというのはそれほど活発に行われているものではありませんでした。ですから、地道に主業を行なって来たわけですが、2004年にある商社のレアメタル・レアアース部門を買収しグループ会社化したことが、その後M&Aを展開していくきっかけとなりました。このグループ会社がアドバンストマテリアルジャパン(以下、AMJ)で、レアメタルやレアアースを取り扱う商社なのですが、買収後、ハイブリッド自動車(HV)の普及などによるレアメタル、レアアースブームに乗り、需要が急増し、業績が伸長していきました。この経験から、ニッチ領域で業界トップの会社をグループに取り込んでいこうという当社のM&Aにおける基本スタンスが構築されました。

−−これまでどのような会社に対してM&Aを実施してきたのでしょうか。

 もともと当社自体が商社ですので、AMJの連結子会社化後もしばらくは特徴のある商材を扱う商社を中心にM&Aを進めて参りましたが、2009年に初めて大川電機製作所という製造業の会社を買収しました。同社は高い技術を持つ金属の切削加工を行う会社です。日本の製造企業は、高い製造技術を持ち、高品質なものを製造することに非常に長けているのですが、利益を獲得するという点ではあまり得意ではない会社が多い傾向にあります。一方で当社は商社で、利益の獲得を得意としていますので、一緒になることでお互いにメリットになるのではないかということで、初の製造業のM&Aを行いました。試行錯誤はありましたが、製造業と商社のシナジーや課題もわかり、結果もついてきました。そこからは、製造企業へのM&Aも積極的に行うようになりました。

 中小のオーナー企業の場合、自己資本も限られ、融資には個人保証の問題もありますので、設備投資について保守的に考える場合が多く、本来なら先行投資すべきところを行わず、チャンスを逃してしまうこともままあります。しかし、当社グループに入って頂くことにより、投資に関しては、当社から積極的にバックアップを行っているため、ほぼ全てのグループ会社でさらに業績が向上しています。