工場直販オーダーメイドの靴

自分の足に合わない靴で健康を害する女性が少なくない。そんな女性の悩みに応えようと、オーダーメイドシューズの専門店を始めたのが、キビラ(東京・日本橋)社長の福谷智之さん(50)。自分流カスタマイズのトレンドは足下の靴にまで及んでいる。

「若い頃は私が靴屋をやるなんて、まったく想像もしてなかった」

関西の大学を卒業後、母校でアメフトの監督かコーチにでもなろうと思ったが、「抜群に給料が高かった」野村證券に入社。資産運用の営業で能力を発揮。時代はバブルのまっただ中、「1カ月のノルマが1日で達成できた。毎日が天国だった」

1997年5月、顧客の1人だったファーストリテイリングの柳井正社長に「一緒に世界一を目指そう」と誘われ、転職。「この人に仕えて商売の面白さがだんだん分かってきた」がその後、全国で学習塾を展開するナガセに再び転職し、新しい英語塾の事業に従事。

2014年4月、社長1人と女性スタッフ4人でキビラを設立。明確な事業計画があったわけではなく、福谷さんの頭の中には服のイメージしかなかった。

「スタッフには一番儲かるビジネスを考えましょうと言ったが、これはいわばリップサービスで、私としては最終的に服屋を始めるつもりでいた」

ところが、女性社員は全員靴屋がいいと主張。合わない靴で腰痛や外反母趾、靴擦れなどの傷害を起こす女性が多いという意見に、福谷さんも「オーダーメイドの靴をリーズナブルな価格で提供できれば、どこにもないものが出来るのではないか。儲かる構図は作れる」と考えを改めた。この方針転換は大正解だった。(次回は6月19日掲載)

文:大宮知信