経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」の集計によると、4月1日以降、電力の購入先の変更を申請した件数は全国で約23万4,000件にのぼる。このうち、東京電力管轄が16万4,000件、関西電力管轄は6万件と全体の95.7%を占める。今後、サービス地域が拡大し、地方への波及が進めばさらに申請件数は伸びる見込みだ。
巨大な新規市場として有望視される電力の小売自由化だけに、大手企業を中心に異業種からの参入が相次ぎ、自社サービスとのセット割引やポイント付与などのメニューで顧客獲得競争が激化している。
だが、50kw以上の大口需要家への電力販売が可能な「特定規模電気事業者(新電力、PPS)」5位の日本ロジテック協同組合(TSR企業コード:298943107、東京都中央区)が2月25日、登録を取り下げて電力小売事業から撤退した。自前の発電施設をもたず、電力の仕入価格に左右されることから利幅が薄く、急成長が慢性的な資金不足を招いた。
一般家庭向けの電力小売事業も構造は同じだ。いかに安く電力を仕入れ、より多くの供給先に販売し、利益を確保できるかがポイントとなる。同時に、本格スタートで急増する売上高で膨らむ資金需要にどう対応するか、資金力も求められる。このため、スケールメリットを活かし、資金力や販売チャネルが豊富な大手企業に顧客が集中する可能性も高い。
電力小売事業は参入バブルの様相もみせるが、新規市場の競争は厳しい。独自色を打ち出せず差別化できない登録事業者や、資本背景に乏しい中堅以下の登録事業者は過当競争に巻き込まれかねない。鳴り物入りでスタートする電力小売の全面自由化だが、競争原理が働くだけに、登録事業者の早々の撤退や廃業、倒産などを想定した対応も問われている。
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