M&Aにより異業種の新規参入が
再び活発化している介護事業の需要

 近年、施設系介護では小規模事業者の経営難などによる売却需要が高まっている。2013年11月末には、長谷工コーポレーション(東京都)が生活科学ホールディングス(東京都)の全株式を取得し子会社化、高齢者向け事業の拡大方針を明らかにした。また、リゾートトラスト(東京都)は、14年5月1日付でメッセージ(岡山県)が経営する有料老人ホーム「遊雅東嶺町」(東京都)を会社分割(吸収分割)により承継、さらなる拡大路線に踏み切った。

 他方、異業種の新規参入が再び活発化していることも、この業界のトピックスであろう。13年11月には、ソニーフィナンシャルホールディングス(東京都)が、介護付有料老人ホーム「ぴあはーと藤が丘」(神奈川県)を運営するシニア・エンタープライズ(神奈川県)の全株式を取得し、介護事業に参入。14年1月31日には、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(東京都)が、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどを運営する「介護サービス輝(かがやき)」(北海道)の全株を取得し子会社化、介護事業に参入した。

 訪問系介護でも異業種による新規参入が目立った。スポーツ用品製造・販売のダンロップスポーツ(兵庫県)は、14年10月1日、フィットネスクラブや通所介護事業所を展開するキッツウェルネス(千葉市)の全株式を取得し、子会社化。スポーツ用品大手のアシックス(兵庫県)も、14年9月から兵庫県西宮市に通所介護事業所「Tryus(トライアス)西宮」を開設し、利用者受け入れを始めた。コンビニエンスストア大手のローソンも、介護事業者ウイズネット(埼玉県)と提携し、要介護・要支援者やその家族、一般高齢者向けのサービスを拡充した店舗の展開を開始した。こうした新規参入組は、介護事業基盤を整えるために、今後も、全国各地でM&Aを展開することが予想される。

 海外への事業展開もトレンドの一つである。14年7月7日、ニチイ学館(東京都)の子会社「日醫香港有限公司(ニチイ香港)」(中国)は、家事代行会社・清掃サービス会社、介護職員・保育士養成会社など10社を子会社化した。一人っ子政策の影響により、高齢化が進む中国では、13年時点で60歳以上の人口が2億人を突破、今後介護市場が拡大することは想像に難くない。ニチイ学館にとどまらず、日本の介護事業者が海外でのM&Aに乗り出す可能性は十分に考えられる。

文:M&A Online編集部