金融庁の課徴金納付命令額、早くも前年度5倍超に

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金融庁(東京・霞が関)

金融庁は9月に入って5件の納付命令を決定

金融庁は9月に入り、証券取引等監視委員会が2019年12月に課徴金納付命令を勧告したインサイダー取引1件を含む計5件に対して納付命令を決定するなど、処分を活発化。9月12日には、英国法人の投資会社アトランティック・トレーディング・ロンドン・リミテッドによる長期国債先物の相場操縦に対し、課徴金4,285万円の納付命令を下した。

決定日 種別 課徴金額 勧告の概要
2022/9/1 インサイダー 1億9,625万円 イノテックとの契約締結交渉者役員による内部者取引(業務提携=中止)
9/1 偽計 1,500万円 アジア開発キャピタルにおける有価証券報告書等の虚偽記載
9/1
偽計
600万円 北弘電社における有価証券報告書等の虚偽記載
9/1
相場操縦
415万円 京写株式に係る相場操縦(仮装売買)
9/9
相場操縦
4,285万円 アトランティック・トレーディング・ロンドン・リミテッドによる長期国債先物に係る相場操縦

証取委も9月に3件の勧告

証券取引等監視委員会も9月だけで3件の課徴金納付命令を勧告。2022年度に発表された勧告の内訳は、相場操縦やインサイダー取引などの不公正取引関係が7件、有価証券報告書等の虚偽記載など開示規制違反関係が5件となっている。

関西みらいFG社員と親族がインサイダー取引

9月2日には、りそなホールディングスによる関西みらいフィナンシャルグループへのTOBなどの内部情報に基づきインサイダー取引をしたとして、関西みらいFGの男性社員に課徴金163万円の納付を命じるよう勧告。男性の親族女性のインサイダー取引も認定し、課徴金31万円の納付命令を勧告した。

日本板硝子株などの買い見せ玉で相場操縦

6日には、日本板硝子株とツカダ・グローバルホールディング株の相場操縦をしたとして、会社役員の男性に課徴金215万円の納付命令を勧告。男性は2020年4月から6月にかけ、第三者の売買を誘引するために買い見せ玉と呼ばれる不正な手口で買い付け委託を繰り返して株価を引き上げ、売買による利益を得たとされる。

TOB情報公表前の株取引を知人に推奨

さらに、9日には名古屋市のビルメンテナンス会社、大成の男性社員に対し、TOB情報公表前に知人に株取引を推奨したとして課徴金21万円の納付命令を勧告した。男性は2020年12月に大成株のTOBに関する情報を職務上知りながら、その事実が公表される2021年2月より以前に知人に利益を得させる目的で同社株の買い付けを推奨したという。

(注)文中いずれも平成20年度までは事務年度ベース(7月1日から翌年6月30日)、平成21年度からは会計年度ベース(4月1日~翌年3月31日)。ただし、平成20事務年度のみ会計年度ベースへの移行のため20年7月1日~21年3月31日。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
・令和4年度課徴金納付命令等一覧:金融庁
・報道発表(令和4年)―不公正取引関係:証券取引等監視委員会
・報道発表(令和4年)―開示規制違反関係:証券取引等監視委員会
・金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~

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