当社の提案に組み込みたい営業支援関連のツールを提供しているIT企業を買収しようと考えています。法務的なリスクとして、どのような点に気を付けるべきですか?

相談者:コンサルティング会社・経営者・50歳・男性

回答者:弁護士・大村 健

知財関係、偽装請負のチェックは必須

 事前に気を付けるべき点として、私たち弁護士がどのようなことを重点的に法務デューデリジェンス(以下、法務DD)でチェックしているかをお話します。
法務DD時にチェックする事項は、株式の状況、組織、人事労務、資産などの不動産関係、ライセンス、契約関係や紛争訴訟まで多岐にわたります。

 そのため、企業によって重点的にチェックする内容は異なりますが、中でも特に注意を払うのが、予期せぬ債務がないかといったことです。IT企業に限ったことではありませんが、債務の一つとして未払い残業代がないかは重要なチェック事項です。

 相談にあったIT企業の場合は、取引先に従業員を常駐させているケースがよくあります。そのため、派遣や請負といった契約がきちんと契約通りに履行されているかどうかなども見ます。つまり、請負契約を結びながらも、取引先の管理監督下にあるというように実態は労働者派遣となっていないかといったことです。

 また、IT企業の場合は、ライセンスの所在など知的財産権のチェックも必須になります。例えば、下請け企業がつくったソフトウエアの著作権に関する権利を下請けがそのまま持っているというケースがあります。その場合は、買収前に権利の移転を済ませてもらいましょう。

 その会社自身の魅力として感じていたソフトウエアが、実は他社のものだった、ということでは笑えません。また、仮に自社のものだったとしても、特許侵害の恐れがある場合もあります。このような問題に関しては、弁理士の力を借りることもあります。

 基本中の基本とも言えることですが、実際に見落としをしているケースがあります。法務DDでチェックするといっても、事前に、気をつけるに越したことはありません。

取材・文:小林麻理/監修:M&A Online編集部