大田区の工場で製造業を営んでいた経営者の仲間が高齢となり、後継者もいないことから事業をM&Aで他の企業に譲渡すると聞きました。廃業と比べた場合、M&Aのメリットは?(相談者:会社経営者・55歳)
事業継続のメリットは大きいといえます。
最初に、友人の経営者の方が譲渡せずに廃業した場合から考えてみましょう。
まず、廃業となったら従業員の方たちに退職してもらわなければなりませんね。そこで、退職金が必要となるでしょう。
次に、工場にある機械を売ることになるでしょう。しかし、たとえ簿価が1億円だったとしても、実際にはその価格では売れないことがほとんどです。
そして、工場を壊して、マンション用に更地にして売却するとします。そうなると、建物の取り壊し費用が発生します。また、土壌の問題が発生することもあります。それに対しても、費用を掛けて土壌改良をしなければなりません。
このように廃業となると、さまざまな費用がかさんだ末に残ったのは借金だけ、といった暗い事態になることもあり得ます。
一方の従業員たちは退職金をもらったとしても次の就職口を探さなければなりません。
結果、社長にとっても従業員にとっても廃業はつらいものになります。取引先にも迷惑が掛かる可能性があります。
ではM&Aによって会社を売却した場合を考えてみましょう。
まず、機械を無理に売る必要もなく、工場も取り壊さなくてもいい。また、株の売却した分のお金も得られます(税金は譲渡益から20%支払うことになります)。
そして、従業員がいなければ事業は存続できませんので、雇用を守れます。事業が継続するわけですから、取引先も安心でしょう。
このように廃業と比べるとM&Aによって事業を継続するメリットは大きいといえます。
まとめ:M&A Online編集部
※本回答は編集部がM&Aの実務家への取材によりまとめたものです。
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