敷金・礼金・仲介手数料が無料の住宅賃貸を日本でスタート

これまで述べてきたオヨのビジネスはホテル事業だが、今年2月からオヨが日本で手がけているのが「不動産賃貸事業」だ。基本的なビジネスモデルは、オヨが不動産オーナーから物件を一括で借り上げ、居住者に転貸するいわゆる「サブリース」である。しかし、一般的なサブリースとは少し違う。

まず、オヨの最大の特徴は敷金・礼金・仲介手数料を完全無料としている点だ。また、オヨがニトリや大塚家具から家具や家電を一括で仕入れてあらかじめ部屋に設置しているため、入居者は新たに家具・家電を用意する必要もないし、引っ越しをする必要もない。

Wi―Fiもデフォルトで設置されている。また、入居時の審査や契約もスマホだけで完結できるため、入居者は費用だけでなく時間も節約することができるようになっているのだ。

ただし、初期費用や家具・家電の購入費用をオヨが負担している分、家賃は高めに設定されている。筆者も実際にOYO LIFEのアプリをダウンロードして幾つか物件を検索してみたが、例えば、銀座駅から徒歩8分、築年数12年、専有面積24平米の部屋の月額賃料が17万4000円となっている。

通常、この条件であれば月額賃料は大体12万円前後となるため、やはり初期費用がかからない分、ランニングコストはそれなりに高くついてくるようになっている。

とはいえ、ライフスタイルや、初期費用とランニングコストのいずれを削減したいと思っているかは住む人によってまちまちなので、万人受けするサービスであるはずがないのはもちろんだが、「サクッと」居住地を変えたい層からの一定の需要はあるだろう。オヨの進出が日本の不動産業界の常識を大きく変える可能性は十分にあると考えられる。

黒字化は近い

さて、ここまで説明してきたオヨだが、実はまだ大きく赤字を出している状況だ。17年3月期は売上高が約19億円に対して当期純損失は約57億円、18年3月期は売上高約67億円、当期純損失約58億円となっている。

しかし、これはオヨが世界中でサービスを急展開し、世界的なシェアを獲得するために積極的な投資を行なっているからに過ぎないと考えられる。ここまで積極的に先行投資ができるのは、紛れもなくオヨがこれまでにソフトバンク・ビジョン・ファンドやセコイアキャピタルなどから総額1000億円以上もの資金を調達しているからだ。

おそらく、世界にはオヨと同じようなビジネスモデルを思いついていた人はそれなりにいるだろう。しかし、事業を拡大する前に資金が不足してしまい、結局、小規模でしか展開できなかったり、事業を中止せざるを得なかった者がほとんどだと考えられる。その点、オヨはすでに豊富な資金を手にしているので、事業拡大期においてこの程度の赤字が生じることはまったく問題ない。

 ホテル事業や不動産賃貸事業も、これまで投資を行ってきた拠点における利用者がさらに増えていくことが想定される。そのため、ひとたび投資回収フェーズに入れば一気に黒字転換するだろう。オヨが世界一のユニコーンとなる日もそう遠くないかもしれない。

文:M&A online編集部