日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が東京地検特捜部に逮捕され、世界中に大きな衝撃を与えた。カリスマ経営者の逮捕は連日、テレビや新聞のトップニュースになっているが、製品の検査データ改ざんやセクハラ、パワハラで社員が告発されたなどという不祥事は日常茶飯事。「うちは大丈夫か」と不正行為の発覚を気にしている経営者も少なくないだろう。そこで企業に引っ張りだことなっているのが、問題が発生した時の対応から、プレスリリースの書き方、新商品の㏚までを指南する広報・危機対応コンサルタント。

独立は前職の失敗がきっかけ

企業の不祥事が続出している。最近、とみに忙しくなっているのではないか。そういうと「相談にのってほしいという要望は多い」と山見インテグレーター代表の山見博康さん(73)。正式な肩書きは広報・危機対応コンサルタントだが、もう一つ「バリュー・インテグレーター(価値統合家)」というのもある。「あらゆるものに価値を見出し、独創的に統合して、革新的なビジネスを創造する」のがミッション。ベースの広報㏚以外に、セミナー講師、M&Aの仲介、マーケティング、人材紹介など仕事は多岐にわたる。

「バリュー・インテグレーターといってもだれも分からないから、広報・危機対応コンサルタントということを名乗っている。企業の成長を支援することが僕の仕事です」という。

危機対応というと、何か不祥事があった時に、メディアに圧力をかけてもみ消すというイメージがある。山見さんはメディアとの接し方をアドバイスするが、不祥事の隠蔽に加担するようなことはしない。イメージダウンを防ぐために、どういう弁明をしたらマスコミや世間に納得してもらえるのか、発表の仕方や謝罪の仕方を指南する。

九州大学を卒業後、神戸製鋼所に入社。人事部、鉄鋼事業部のほか20年近く広報業務に携わった。1997年、53歳の時にベンチャー企業に出向したのが独立のきっかけ。巨額の費用をかけたプロジェクトに取り組んだが、半年で失敗。その後、経営コンサルタント会社に移り、2年間様々な業種の中小企業に広報を指南して成長を支援。そのノウハウを蓄積して2002年に山見インテグレーター(東京・渋谷)を設立し代表に就いた。

当初は「食べられなかった」そうだ。広報業務のノウハウや危機対応に関するセミナーを企画し、企業や団体に売り込んで歩いた。独立後に書いた本『会社をマスコミに売り込む』も自分で企画し出版社に持ち込んだ。それでも食べられるようにはならず、2005年に『広報の達人になる法』を出した。これが評判になり、別な出版社から執筆依頼があり、セミナーの講師依頼やコンサルタントの仕事が来るようになった。(次回は12月4日掲載)

文:大宮知信