観光業から物流業へ転換

トータルロジテムのウリは総合商社的な物流サービス。顧客の旅行スケジュールに合わせた荷物の集配ができるのが強み。旅行代理店と連携して、国内交通事情、ホテル業界に精通するスタッフが観光日程に合わせて様々な手荷物配送を代行する。

手荷物配送サービスを展開するトータルロジテム社長の三苫敏明さんが独立したのは60歳の時。還暦での起業は当然周りから猛反対された。「60歳にもなって、お前、会社作ってどうするのよ、とみんなから言われた」そうだ。が、三苫さんはためらうことなく起業に踏み切った。

「この仕事がなくなったらお客さんが困るだろうと思ったんです」

前の会社では20年近く観光ビジネスに従事していた。リストラで旅行業から物流のセクションへ配置転換させられたのが、新しいビジネスを始めるきっかけとなった。

企業理念は「一期一会」ならぬ「一期一個」。その意味を三苫さんが解説する。

「修学旅行は一生に一度。その荷物がなくなったりしたら、思い出がぶちこわしになる。一つひとつの荷物を大切にし、より充実した旅行のお手伝いをするということです」

思うように契約が取れなかったらという不安はあった。いきなり名刺1枚持って旅行会社に営業に行っても、契約を取るのは難しい。会社の看板がなくなっても、かつての取引先が付き合ってくれる保証はない。半年経ってダメだったらやめようと思っていた。

前職時代に構築した大手旅行会社との強力な人脈ネットワークが役に立った。

「ありがたかったのは最初にJTBに契約業者として認められたことです。前の会社のときにお付き合いした人たちがみんな偉くなっていて、独立したんなら使ってやるよと」

業界最大手JTBとの契約が成立すれば、後は順調だ。近畿ツーリストも日本旅行も、その他の中小旅行会社も次々にトータルロジテムとの取引を承認していった。

文:大宮知信