保険の営業からコンサルタントへ転身。よくあるケースだが、今回紹介する元生保レディーで、H&Cブランディングマネジメント代表の吉澤由美子さん(51)は、ちょっと異色。「ブランディング営業コンサル」という独自のスタイルで、地方の中小企業を対象にコンサルティング活動を展開している。武器は企業価値を物語で伝える「事業ストーリー」の作成支援。

最初に経営者からヒアリングを行って素案を作り、2回目は細部に修正を加えて内容を深め、3回目の面談で再度修正をして完成品とする。費用はこの事業ストーリーBOOKだけだと20万円。これを基に営業体制を整えるコンサルティングを受けると、さらに20万円程度の費用がかかる。

営業ウーマンからコンサルタントへ

吉澤さんの名刺の肩書きは「事業ストーリー作成コンサルタント」。社歴が長い会社ほど商品の数は増えるが、逆に会社の理念や目指す方向性はぼやけてくる。吉澤さんは経営者のヒアリングを通して、社長の思いや事業構想を言語化し「事業ストーリーBOOK」を作成する。さらに事業ストーリーBOOKを営業マンや社内スタッフに浸透させるコンサルティングを行っている。

吉澤さんは島根県松江市生まれ。少し「やんちゃな少女時代」を過ごし、高校中退。地元のブティックに就職した。25歳で結婚し専業主婦となったが、飲食業を営んでいた夫の会社がバブル崩壊後、破綻。2000万円の借金を背負って10年目に離婚。2人の子供を抱えて36歳のシングルマザーに。「子供たちのためにやるしかない」と腹をくくり、社会復帰。だが、学歴も職歴も資格もコネもなかった。

ここからがすごい。仕事の傍ら猛勉強し、大検の資格を取って通信制の短大を卒業。ファイナンシャルプランナーや経営診断士など11種の資格を取得。大手生命保険会社に就職して保険の営業ウーマンになった。

「ただ会社へ行って保険に入ってくださいと頭を下げても、今、忙しいからと追い返されるだけ。最初の2年間は飛び込みで、ひたすら頭を下げるだけの毎日でした」という。

その後、転職した損保会社の法人営業で実力を発揮。12年間で1000人以上の経営者と面談を行った。この苦労と経験がコンサルティング活動のベースになっている。

退職金をもらえる定年まで働こうと思っていたが、保険の営業ではせっかく取得した資格を生かすことができない。「仕事の合間に、ちょこちょこと営業研修の講師も頼まれたりしていたので、営業マンの研修だったらいままでのスキルを生かせるかな」と、2012年にコンサルタントとして独立し、H&Cブランディングマネジメントを設立した。H&Cはヒューマン&コーポレーションの略。営業力、組織力の強化、販路拡大などコンサルタントの定番メニューをそろえた。(次回は11月6日掲載)

文:大宮知信