差別化戦略でトップを独走

独立したら「3年は赤字覚悟で」とよくいわれる。浅草愛和服社長の畑和男さんは、「3カ月やってダメだったらあきらめよう」と思っていた。元経営コンサルタントの起業にしては、3カ月で撤退を判断するのは早すぎるのではないかと水を向けると「だって余裕がないんだから。退職金は老後の資金にキープしておかなければならないし」とあっさり。

結果は大成功。右肩上がりに予約が増え売上げが伸びていった。畑さん自身も「正直、ここまでいくとは思わなかった」と驚くほどの盛況ぶり。

外国人を意識した戦略、差別化が功を奏した。「台湾の女性に的を絞ったのが良かったね。台湾の人は親日的な人が多いから」。普通の日本人はあまり派手な着物は着ないが、外国人は華やかな着物が好きだから、ピンクとか派手なものをそろえた。

受付に中国語がしゃべれる女性を採用。「海外のお客様が安心して利用できるようにしたんです。お店にしゃべれる人がいれば、みんな安心するじゃないですか」

雨が降ると日本人は予約をキャンセルするが、旅行スケジュールが決まっている外国人観光客は、よっぽどのことがなければキャンセルしない。そのこともプラスに働いた。

2016年4月5日に浅草2号店と3号店を同時にオープン。1年間いつでも着物レンタルが利用できる業界初「年間パスポート」の発行も始めた。今夏、2号店に写真を撮ってシールにするプリクラも導入した。「どうしたらもっと海外のお客様に喜んでもらえるか、ライバル店にどう差別化できるかということを常に考えている」

浅草愛和服の入口に立っていると、若い女性がひっきりなしに店の中に入っていく。「1時間90人以上の対応が可能です。1時間でこれだけのお客さんを受け入れている例は珍しいと思います」

浅草で3店舗を運営し、受付をはじめ外国人スタッフが8人もいるのは最多。着物レンタル業界では全国でもトップクラスだ。(次回は9月5日掲載)

文:大宮知信