経営コンサルタントは企業が抱える様々な課題を明らかにし、解決策を助言するのが仕事。経営内容を分析して改革案を提示する手法は同じだが、風土改革コンサルタントは、組織風土そのものにメスを入れる。

この通りにやればうまくいきますという提案をして終わりではなく、クライアントの社員や役員と一緒に悩みを共有し、現場で試行錯誤を繰り返しながら解決策を見出していく。

時には経営者にとって耳の痛い話もしながら根気強く支援する。かなり時間がかかるのが特徴だ。プロフェス代表の手塚利男さん(66)は、その数少ない風土改革コンサルタントだ。どんな仕事をしているのか。

トヨタ方式のコンサルタント目指す

いくら立派な戦略や制度を採り入れても、組織風土という土台が腐っていたら会社は倒産する。逆に土台がしっかりしていれば、どんなに強い嵐に見舞われてもびくともしない。

普通のコンサルと風土改革コンサルとの違いについて、手塚さんはこう言う。

「一般のコンサルタント会社は、調査して、企画書を作って、提案して、この通りにやればうまくいきますと言う。コンサルとしてはそれで終わり。高いお金を払ってね。我々はその土台にメスを入れ、上に乗っている企業の組織風土を建て直すのが役割です」

大手のコンサルタントファームのように、机上で練り上げた改革案を提案して一件落着ではなく、現場に入って併走しながらともに改革に取り組んでいくのが特徴だ。

手塚さんは山形県生まれ。中学校卒業後、大型車のメーカー・いすゞ自動車に就職。工場の幹部を育成する企業内学校、いすゞ自動車工業専修学校で3年間物作りの基礎を学び、トラックの部品を組み立てる川崎工場の設備機械を修理する設備保全の部署に配属された。

「機械修理をするのが面白くて、いろんな道具をぶら下げて歩いていました」

1991年、社内の風土改革活動に自ら手を挙げ「いすゞ生産方式」の構築に参加したことが転機になった。現場から会長室まで出入り自由な〝ブラブラ社員〟として風土改革活動の全社風土改革推進を担当、風土改革に手腕を発揮した。

この実績が認められ、44歳の時に川崎工場の総務部長に抜擢された。風土改革活動の支援を兼務しながら、人事・総務に関する規制を緩和して“のびのび闊達な工場づくり”に取り組んだ。

「トヨタ系のコンサルタントと一緒に工場革新や改善の仕事を始めたら、これが面白くて、将来転職したらコンサルタントになれるかもしれないと、この時初めてコンサルタントを意識した」

2年後、いすゞ自動車の子会社であるキャリア開発に出向となった。取締役ではあったが、人材紹介事業の部門を持つ会社で、子会社に飛ばされたようなものだった。その後、後押ししてくれた役員が相次いで辞め、居場所がなくなってしまった。

具体的なプログラムがあったわけではないが、「トヨタ方式のコンサルティングを勉強し、組織改革の経験もできた。いすゞ自動車の中である程度成果も出せたので、生産現場の改革と組織風土改革の2つをセットでウリにすれば仕事はできるはずだ」と49歳の時に早期退職。会社を恨むことはなかった。(次回は10月16日掲載)

文:大宮知信