「サーチファンド」で社長になった!エヌ・エス・システムの西澤泰夫さんに聞く

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「サーチファンドは中小企業の事業承継にぴったり」と力説する西澤さん(東京都中央区で)

サーチファンド(経営者になりたいと考える個人が、買収したい会社を探し投資家の支援を受けて経営権を獲得する仕組み)を運営するGrowthix Investment(東京都中央区)の第一号ファンドで、西澤泰夫(59歳)さんが2022年2月10日に、社員食堂の決済システムを手がけるエヌ・エス·システム(東京都千代田区)の社長に就任した。

3カ月ほどが経った現在、事業承継はうまく進んでいるのか。新天地でどのような成長戦略を描いているのか。さらにサーチファンドの将来性はどうなのか。西澤さんにお聞きした。

中小企業の事業承継にぴったり

-新社長としてどのような感想をお持ちですか。当初のイメージとは異なりますか。

前社長とは1年くらい前から事業承継について話し合ってきていました。実は私の古巣が、この会社をM&Aできないかと考え、私が担当者としてずっとデューデリジェンス(価値やリスクなどの調査)をやっていたのです。ただこの時はうまくいかず、一旦話しがなくなったところに、不思議なことが起き、グロウシックスさんから、今回のサーチファンドを利用した社長就任の話しがありました。時間をかけて事業計画などについてしっかりと検討していたため、就任後に戸惑うことはありませんでした。

-サーチファンドが、事業承継の一つの手段として注目され始めています。サーチファンドの将来をどのように見ておられますか。

事業承継を考えている中小企業の経営者は、自分の株をいくらで引き取ってもらえるのかという問題とともに、自分の作り上げた会社を大きくしてほしいとの思いを持っています。この人に経営を見てもらいたい、この人に自分の夢を託したいという思いが生じないと事業承継は成立しません。

一方、日本にはいい中小企業がたくさんありますが、この中には後継者がいない企業も少なくありません。いい企業なのに事業を継続できないという現実があります。サーチファンドは普通のサラリーマンが経営者になるため、多くの経営者を生み出すことができます。後継者に悩んでいる中小企業経営者が、自分の夢を託せる人を探し出せるサーチファンドは、日本の事業承継には、ぴったりの仕組みではないでしょうか。

-ところで、エヌ・エス・システムは社員食堂の決済システム「食堂楽」を事業の柱とされています。経営状況はいかがですか。

食堂楽は、チップを張り付けた食器に入った料理を、レジに持っていくと自動的に清算ができるシステムです。弊社が給料引き落としなどの決済の仕組みを30年ほど前に作りました。

支払いは現金ですと1人40秒ほどかかりますので、昼食時に大人数が一気に押し寄せる工場などでは行列ができてしまいます。食堂楽では4秒で済みますので、スムーズな支払いが可能になります。現在400社850拠点で使っていただいています。

このシステムはキャッシュレス、非接触のため、コロナ禍の中、追い風が吹いており、経営は順調と言えます。また、私がこれまで蓄積してきた「秘伝のタレ」がありまして、うまくいくかどうかは分かりませんが、今粛々とそれをやっているところです。先代の夢であった株式の上場を叶えられたらと考えています。

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